女神転生バトルロワイヤルまとめ
第9話 噛ませ犬サトミタダシの遠吠え

集められた全員で殺し合いをして最後まで生き残ったら帰れるだと?
全く馬鹿な事態に陥ってしまったもんだ。
しかし始まってしまった以上、勝つしかない。幸い、敵は知らない人間が殆どだから、心が痛むことはあまり無い。
つまり、容赦する必要も無いということだ。
何しろ俺の彼女のタマ…内田たまきすら、俺の知らないたまきなのだから。
あいつは今の学校、聖エルミン学園に転校してくる前の制服を着ていた。最初は気分転換か何かのつもりかと思ったがそういうわけでも無いらしい。
どういう原理かはよく解らないが、参加者は色んな時代から集められているようだ。明治時代か大正時代のような古臭い書生がいたり、まるでSFみたいな格好の連中もいた。
だからあの内田たまきも俺と出会う前のたまきなんだろう。
あのタマなら此処で殺しても大丈夫だと思う。
優勝したら何でも願いを叶えてくれるらしいから、主催してる奴に頼んで元いた時間の元いた場所に帰してもらえば問題無い。それくらいは出来るはずだ。
だが、誰から殺る?
さっき見た白い学ランを着た奴はヤバイ。
例の書生(こいつはツラの良さがムカつくから後で絶対俺が殺る。)
と、戦っているのを物陰から見たが、俺の知らない魔法のような力を使ってあっと言う間に書生を追い詰めていた。
俺の武器は、銃だ。デザートイーグル。オートマチックで破壊力抜群の優れたヤツだ。
だが残念ながら俺に魔法の力は無い。もう少し強力な武器を手に入れてから対策を練った方が安全だろう。
大体あの顔がムカつく。まぁ、多少整っていたが俺には足元にも及ばんがな。まぁ、その内殺ろう。
それからヘルメットみたいな変な髪形のヤツもダメだ。こいつもまた俺の半分くらいの顔の良さでムカついたが、白い学ランのヤツ同様に魔法が使えるらしい。
襲ってきヤツを一秒で焼き殺した。
とりあえず、今の段階でこの二人と戦うのはマズイだろう。
では最初は誰から殺す?
……そうだ、女だ。女の参加者を探そう。出来れば良い武器を持っていて、魔法を使えない普通の女だ。


普通の女ならまず間違いなく勝てるだろう。
何しろ俺の武器は銃だし、取っ組み合いになっても負ける気がしない。
それに相手が女だったら、仲間の振りして近づいて、ちょっとはいい思いが出来るかもしれないしな。ヒヒヒ…。
おや? あれは…何たる偶然! これは運命か!?
タマじゃないか! 俺の女のタマ!
あ、あいつからしたらまだ俺の女じゃないか。でもまぁいい。
で、あいつの武器は何だ? そう、そうだ、鞄を開けろ…おぉ、アイスピックか。残念だったな。それでは銃には勝てんよ。
アイスピックを取ったとしても大した戦力にはならないが、ここであいつを殺して人数を稼いでおこう。
すまないな、過去のタマ。俺は未来に帰って未来のお前とよろしくやるよ。未来のお前は本当にいい女だ。ベッドの上でもな。ヒヒヒ…。
さぁ覚悟しろ! 優勝は俺だ!
…あれ?
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

他の参加者の多くと比べたら少々愚かなサトミタダシは右目の異常に気付いて絶叫した。
全く気付かぬ内に投げられたアイスピックが見事に捕らえていたのである。
慌てて叩き落したが、それは既に自分の血で染まっており、また、先端には自分の目玉の一部と思われる肉片がこびり付いたままだった。
「うがぁっ! 俺の眼がぁっ…!!」
「はああああ!!」
右目を失い、すっかりパニックになってしまったサトミタダシの脳天を鈍器のような物が捉える。
何度も、何度も殴りつけられ、彼が絶命する頃には頭にストロベリーパイを載せたような無様の有様である。
「はぁ…はぁ…。」
皮肉なことに未来の恋人を手に掛けてしまった内田たまきは肩で息をしながら、男の命を奪った大きな石を地面に投げ捨てた。
血と肉が汚らわしくて、これ以上触っていたく無かったからだ。
「いきなり銃で狙って来るなんて…。こっちもうかうかしてられないわね。
その銃は貰っておこう。」
たまきは最早顔の原型をも留めていないサトミタダシの死体をなるべく見ないようにして、
彼が手にしていたデザートイーグルを拾い上げた。



【内田たまき(if…)】
状態 正常
武器 アイスピック デザートイーグル
道具 ?
現在地 平坂区
行動方針 ?


【サトミタダシ(異聞録ペルソナ)】
状態 死亡(アイスピックで眼を貫かれた上、石で頭を殴られる。)
武器 銃だったがたまきに奪われる。
道具 ?
現在地 平坂区

【残り ?名】

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