アキラは目覚めて最初に自らの体の違和感を感じた。
「ん…?俺の体…?」
不思議なことに彼の肉体はアモンが取り付く前であった。
ハザマもいたのだ、自分の身体をそこまで引き戻すのも容易だったのだろう。
(…そういえばアイツ、たまきもいたな…。アイツと合流できれば…何とかなる)
自分がいたのは見たことの無い学校だった…だが学校は学校だった。
あるべき部屋ぐらいはある…そして彼の支給品は防具、髑髏の稽古着。
そうとなればやることは一つ――――――――――――。
家庭科室の表記を見るや否やドアを蹴り、中に押し入り包丁やら鍋の蓋やらを回収し、
理科室の表記を見るや否や科学薬品やらアルコールランプやらを回収し、
保健室の表記を見るや否や薬箱等を回収する。
磨りガラスだろうがなんだろうが軽高一の不良の手に掛かればあっというまに破られてしまった。
校舎を出る前に校長室の前で何故か立ち止まる。
…異様な雰囲気を感じるのだ、人のような…悪魔のような…?
不思議と、警戒心は抱かなかった、今までと同じ要領でドアを蹴破る。
中には一人の鎖につながれた男が座っていた。
「豪快な方法で入ってくるな…ああ、私の名はリック。
ごらんのとおり鎖で両腕が動かせなくてね…この鎖を外してくれないか?
もちろん…外れたらそれなりの礼はするし、外れた途端君に襲い掛かることもしない」
怪しかった、男は上半身半裸であったし、両手は鎖でグルグル巻きにされていた。
…それでもやはり、警戒心は抱かなかった。いや抱けなかった。
ゆっくりと男に近づき、その鎖を力任せに引きちぎろうとした。
…鎖はビクともしなかった、見る限り細い鎖なのだが、どうも特殊な素材で作られているようだ。
「…やはりナカジマでなければ駄目か…すまなかったな」
「用件はそれだけか?」
アキラが今度は問いただした、少しリックは考える。
鎖の擦れる音が、少しだけ響いた。
「そうだ…私も…連れて行ってくれないか?
ナカジマに会って…この鎖が外れれば君たちの力になれると思う」
…無視してアキラは振り返る。
リックは一瞬溜息をついたが、もう一度口を開いた。
「待ちたまえ…じゃあこの剣は君に渡そう。
私じゃ…扱えそうに無いからな」
渡されたのはヒノカグヅチ、どんな剣よりも破壊力に優れ。
どんな剣よりも素早くふるうことのできる最強の剣。
それを受け取り…アキラは無言でリックに包丁を渡した。
リックが意味を理解する前にアキラは口を開く。
「…断っても着いて来そうだからな。
自分の身はそいつで守りな」
アキラは歩き始めた、後ろからリックがゆっくりとついていく。
歩き出したアキラのヒノカグヅチが少しだけ重く感じた。
――――俺のやることは一つ。
ハザマをもう一度、ぶっ飛ばす。
【宮本明(真・女神転生if...)
状態:GOOD
装備:ヒノカグヅチ(少し重い)、鍋の蓋、髑髏の稽古着
道具:包丁*2、アルコールランプ、マッチ*2ケース、様々な化学薬品、薬箱一式
現在位置:春日山高校
第一行動方針:たまきと合流
基本行動方針:ハザマの殺害、ゲームの脱出
備考:肉体のみ悪魔人間になる前】
【リック
状態:GOOD
装備:包丁
道具:なし
現在位置:春日山高校
第一行動方針:アキラに同行
第二行動方針:ナカジマ(若しくはそれ以上の力を持つ人間)に会う
基本行動方針:鎖を外し、ゲームの脱出
備考:鎖がついたまま、外せれば…?】
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