女神転生バトルロワイヤルまとめ
第14話 異変

恵まれた所ほど人が多いのは当たり前の事だ。
例えばあらゆる施設が設けられていればその分だけそれぞれの人が求める所へ足を運ぶ。
そんな需要と供給の物理的関係の上で必然的な繁栄を約束される。それが世の中の成り立ちだった。
しかし今になってはそんな事は全く無い。それはただの飾りとしてしか機能されていないのだ。
この夢崎区も例に漏れずそうである。周りには文明の進化で栄えている町並みも今では滑稽でさえある。

「穢れた文明の産物の隙間を潜り抜けて出るこの静寂・・・・・・気に食わんな。」
其処には消防署から不毛な現実へと身を出した一人の男が、不服そうに物を言う。
氷川はこの穢れた地にて求めていた。利害関係を一致した者を、この先の困難を和らぐ何かを
この富で溢れた町並みの中に求めていた。しかし現実は理想を砕く非情な存在である。
何処を見渡せど氷川が期待するものは何処にも見当たらない。探せど探れど見つからない状況が続く。

「少し休もう。」
流石に疲れには逆らえない。氷川は近くにあった店の中で暫しの休息についた。
「さて、どうするべきか。」
休息の間さえ頭を休めずに次の行動を考える。彼が心の底から休まる時は無いのだ。
そんな中、偶然ある異変を見つける。
「・・・・・・あの場だけ妙に荒れが酷いな。何かあったのか?」
アスファルトの地面が砕け散り、コンクリートの欠片が散りばめられた、明らかに
他とはおかしい場所であった。氷川はその異変に警戒したのかマントラを唱えだした。

「お呼びで?」
姿を現したのは氷川と最初に契約を交わしたあのオセの姿である。
「オセ、何か感じないかね?」
「・・・・・・そう言われると血生臭い何かを感じ取れます。」
「やはり私の読みに狂いは無かったか。この近くに何かがある。」
不変を保ち続けた今までの情況が遂に変化を表した。しかしそれは氷川にとって望ましい自体ではなかった。

「下手をすれば戦闘になると思います。氷川様、念の為に自衛の武器をお持ちになって下さい。」
「解っている。なるべく御前の手を煩わせんように努力はするつもりだ。」
「オセ、その鉄骨を四角に切り落とせ。数は三つあれば十分だ。」
「鉄骨を・・・ですか? わかりました。氷川様のお望みなら容易い願いです。」
そう言うとオセは双剣で四角に切り刻んだ鉄骨を渡すと
氷川はザックの中からガムテープを取り出して消防署で取って来た鉄パイプとにそれを撒きつけた。
「簡易型ハンマー・・・・・・まさかこんな原始的な武器を私が持つ事になろうとはな。」
「まあ、無いよりは幾分マシというものか。」
「氷川様、武器だけではいけません。防具も身につけて下さいませ。」
今度は同じ鉄骨を双剣で四角形に切り刻んでそれをまた半分に切り落とした。
それを背と腹の二つにガムテープで服の下に巻きつけた。鉄骨はたちまち防具の代わりとなった。

「・・・・・・当初に比べれば随分とマシになったものだ。やはり悪魔の力は欠かせんな。」
改めて悪魔を自分が従えていることの利便さを感じざるを得なかった。
人の力では成し得ぬ事も、悪魔であれば可能となるのだから。
これこそが劣悪な状況下においての氷川が持つ二つ目の頼れる武器となったのだ。

「では参りましょうか氷川様。」



【氷川(真・女神転生V-nocturne)】
状態:やや疲労
装備:簡易型ハンマー 鉄骨の防具
道具:鉄骨のストック;二つ
現在地:青葉区の普通の店
行動方針:異変の確認

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