女神転生バトルロワイヤルまとめ
第16話 悪魔狩り

ほの暗く、湿り気が多く、淀んだ空気の中……
まるで地獄のような呪わしい場に、生命の危険を示す絶叫が響き渡る。
ここは、防空壕。かつて、戦争の恐怖から逃れるために作られたはずの場所には、何時の間にか
恐怖そのもの――悪魔が現れるようになっていた。
では、先程の悲鳴は恐怖に飲み込まれた哀れな子羊のものか?
否。圧倒的に否。あの叫びは、厳然たる恐怖の権化が上げる更なる呪いの声。
「ああ……あああ………」
一人の少女――いや、少女と呼ぶべきではないだろう。本来なら、2枚の輝く羽を備えた存在。
最下級ではあるものの、紛うことなく天使の一柱だ――が両手で這いずるように更なる恐怖から逃げる。
本来あるべき羽を失い、無駄だと半ば知りつつも恐怖に駆られ、涙を流し自分を上回る恐怖、狩猟者から逃げる。
僅かに風が流れた。
「あッ……!ひッ!」
目の前には、狩猟者の足。
何故?何故こうなった?彼女は自問する。このような薄暗い魔境で、たまたま見かけた人間。
いったい何をしているのか知りたくて、彼女は無防備なまま話し掛けた。所詮は人間。
もしものことがあっても平気だろう等と考えていた。しかし、それは間違いだった。
次の瞬間には、腕がなくなっていた。その次の瞬間には右の羽が。そのまた次には左の羽が。
あっという間に彼女は地に伏せる羽目になった。
溜まらず叫んで逃げ出したが、目の前の存在は逃げることすら許さない。
狩猟者の足が胸へ食い込む。無様に転がる。倒れた彼女の胸板を足が圧迫する。
「お……お願いです……見逃してください……何でもいたしますから…ッ!」
哀れに、無様に許しを乞う。

 仲魔になれ     →MAG
 マッカ        死ね

「MAGでございますね……なら、これを……68MAGです……これで……いいでしょうか……?」
ただでさえ実体化で少ないMAGを搾り出すように渡す。

  OK
→だからお前は阿呆なのだ

次の瞬間には、彼女の首は体と離れていた。

「やれやれ、ニュートラル悪魔じゃいくら殺ってもMAGにならないからな」
得物の夢想正宗を戻し、肩をすくめて見せた。とても、あのような外道を働いたようには見えない。
「まったく、あの狭間をシバくための魔界行脚の次は殺し合いか」
突然、魔界に放り込まれ、脱出のために魔界を生き延びた青年――神代 浩次。
彼の背後をもし霊視出来れば巨大な龍が見えるだろう。龍神ラハブ、それこそが彼の人外の強さの根源であり、
同時に彼の一側面でもある。悪魔の位階を数値化するとすれば、ラハブは63位にあたる大悪魔であり、
彼自身もまた60位に迫る強さを持つのだから。
今の彼は、100mを5秒以下で走り、一撃で大木を払うだろう。
「ま、生き残るには仲間は必須。ここらの悪魔は弱いし、MAG集めに勤しむか」
もはや彼に通常の、「人としてこうあるべき」などという常識はない。
生き残るためなら何でもやる。いくらでも利用する。また、そう出なくては生き残れない世界を生きてきたのだから。
「ようは嫉妬界と一緒だ。むしろ、レイコがいないから悪魔を口説くの逆に楽そうだしな……あのモラリスト、
悪魔とヤろうとしたら切れる始末だし。」
カチカチと手にはめたCOMPを操作してMAGの量を確認する。
「341MAGか……最低2000MAGは集めたいな。あと、武器も夢想正宗だけじゃな……
投げナイフ数本と、あとは最低限の防具と、消耗品と……やれやれ、しばらくは悪魔狩りだな」
それだけではない。更に加えて合体で、ある程度強い悪魔も是非欲しい。幸い、このメリケンサック型COMPは
合体機能がついているのでそれも可能だろう。
「隣の部屋に行くと悪魔の強さがグッと変わるからな。しっかり準備してステップアップといくか」
死亡者がなかった場合の首輪の爆発に関しては、気にする必要はない。
どうせ「殺さないと死ぬんだ」とでも思っているお頭の不自由な方々が殺し合いをしてくれるだろう。
ま、精々殺し合いに勤しんでくれよ。お前らの数が減った後、しっかり準備した俺が全員ぶっ殺してやるから。
怠惰界の連中のように必死になって踊っていればいい。あとの旨味は……俺がもらうから。


【神代 浩次(真・女神転生if、主人公)】
状態:実に健康
武器:夢想正宗
道具:メリケンサック型COMP
現在地:春日山高校/防空壕
行動方針:消耗品、投具系の武器、防具、MAG、強力な仲間の回収

***** 女神転生バトルロワイヤル *****
inserted by FC2 system