多くの魂を混沌へと導いた闇は薄れ、新たな時を告げる太陽が昇った。
決して希望をもたらす光ではなく、
生贄を貪欲に求め、絶望を与える光を引きつれ、その刻は来た。
突然、天の光は眩いばかりに地を覆う。
――変異。
地上にある全ての音が掻き消え、
空間が変わったかのような錯覚。
人も悪魔も等しく受ける幻覚と眩暈。
それらは一つの声となり、あらゆる者たちへと響き渡った。
「諸君、夜の闇は去った。定刻である。」
天より、全ての者たちに威圧感を与える声。
「我が元へ参った魂の名を告げる。
名は一度しか言わぬ。心して聴くがよい。
「新田勇」「反谷孝志」「リサ・シルバーマン」
「秦野久美子」「園村麻希」「上田知香」
「サトミタダシ」「高尾祐子」「白川由美」
「フトミミ」「ヒロコ」
以上、11名だ。」
ある者は絶望に打ちひしがれ錯乱し、
ある者は名の呼ばれない者との再会を心に誓い、
ある者は次の生贄を探し、
ある者は魂の救済を求めていた。
だが、何も変わらぬ調子で声は告げる。
「なお、この後定刻の度『変異の刻』を迎え、悪魔は力を増すだろう。
力強き悪魔は、力弱き悪魔へ牙を剥き、絶対数は減るだろうが
御主らの命はどれほどのものか――楽しみである。」
閉鎖された大地に存在する命の全てへ向けて声は、笑った。
その言葉に、悲嘆に暮れる者たちへ突き放すように続ける。
「死者の中には死してなお、生を求める者がおる。
その者の名は告げぬ。
逃げ惑え。互いに疑うがいい。
隣に立つ者が、裏切り、殺し、偽りの生を与えるものやもしれぬと。
迷える魂たちよ。生への執着が御主らを追い詰めるであろう。
死者の数はまだ少ない。精々殺しあうがいい―――。」
空間の歪んだ空気が消えていく。
光を満たした天は、元来の姿へ戻していく。
大地は音を取り戻す。
新たな死者の魂を呑み込む為に用意された朝が訪れた。
【悪魔の強さが強化されました。
今後、「日の出」「日の入り」放送後、強化されていきますが個体数は減少します。】
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