女神転生バトルロワイヤルまとめ
第36話 尋ね人

アラヤ神社
どこの町にもをひとつはある古い神社。
百年・・・もしかすると千年以上前からこの地を見守って来たであろうその場所・・・そこに二人は訪れていた。
「行きたかった場所っていうのは・・・ここかい?伽耶」
ザ・ヒーローが尋ねる。
「そうだ・・・・・・・思ったとおり、ここは霊気が多い」
伽耶はそう答えた。
「霊気?」
「ああ、霊穴とか竜脈という奴・・・風水などで用いられる概念だな、術を行うのはできればここがいい」
「成るほど・・・下調べってこと?」
「それもあるが・・・ヒーロー、お前は確か大破壊前の生まれだったな・・・御神木というのはどれか分かるか?」
「ああ・・・それなら多分注連縄が巻いてある・・・あれだな」
ザ・ヒーローはひとつの木を指差した。
他の木と比べても明らかに樹齢の長いそれは注連縄を巻かれどこか荘厳な雰囲気が漂った霊木だった。
「・・・なるほど、いい木だ」
そういうと伽耶は木に向かって2度頭を下げ次に拍手を2回そしてまた2度頭を下げる。
「木の幹を少し・・・いただきます」
そういうと伽耶は木の幹を包丁ではぎ取り出す。
「何をやっているんだ?」
「武器がわり・・・というところだな」
次に包丁で木を研ぎ始める。
有る程度表面が滑らかに成ったものが4つ出来上がると組み合わせ底をつける。
注連縄を少し切り取ると木を組み合わせたものを結ぶ、さらに木の幹を抉りふたを作る。
木の幹だったものは管のようなものになった。
「よし・・・できた」
「・・・なんだい?それ」
「葛葉流封魔術に使用する道具・・・その原初のものだ」
「・・・よく分からないが」
「お前のGUMPの原始的なものだ、葛葉一族は元来これで悪魔を使役する」
そういいながら伽耶は管の細部をチェックする。
「・・・それで仲魔にするのか?」
「そういうことだ・・・時空転移の法を調べるうちに見つけた術で試すのは今回が初めてだが・・・よし、仕上げだ」
そういうと伽耶は管を置きその前に座る。
手を組み合わせ印を組むと呪文らしきものをを唱え始める。
「トホカミ エミタマ トホカミ エミタマ アハリヤ アソバストマウサヌ」
徐々に周りの雰囲気が変わる。
「アサクラニ イブキドヌシトイフカミ オリシマセ」
管に何かが集まっていく。
「フルベ ユラユラト フルベ」
そして全てが集まりきる。
「ハラヘヤレ ハラヘヤレ」
呪文を唱え終わるといつの間にか管は伽耶の手に収まっていた。


「ふー・・・ヒーロー、悪魔を呼び出してくれ・・・そうだな、ホウオウを頼む」
「・・・ああ、テストするんだな分かった」
ヒーローはそういうとGUMPを展開する。
コンピュータに慣れた手つきで入力を済ますと画面に魔法陣が現れる。
<霊鳥召喚・・・ホウオウ・・・GO!>
大きな翼を持った鳥が現れる。
「行くぞ・・・封魔だ」
伽耶が管を構えホウオウに向ける。
管が吸引を始めるがホウオウはこれに抵抗する。
「グウ!オレサマ、スイコマレナイ!」
「ぐ・・・無理か・・・ヒーロー、ホウオウに抵抗しないよう指示してくれ・・・」
「分かった・・・ホウオウ、その人は味方だ、悪いようにはならない・・・抵抗をといてくれ」
「グウ・・・ワカッタ」
ヒーローから指示が飛ぶとホウオウの抵抗する力が格段に弱まった。
するとホウオウは管に吸い込まれて行く。
「はぁはぁ・・・ダメだな・・・これではとても普通の悪魔を封魔するなどできそうに無い」
封魔を終えた伽耶は息を切らせていた。
あの動作でかなりの体力を消耗したようだ。
「・・・ホウオウはもう君の指示で動くのかい?」
「ああ、管に入ったということは既に術者の命令に強制力が出る」
「だったら僕が交渉して仲間にし、伽耶に渡すのではダメなのかい?」
「恐らく可能だ、しかし見ての通り・・・管の作成と封魔でとんでもない体力を消耗する・・・この神社でさえだ」
「そうか・・・ホウオウは君が持ってるといい、万が一はぐれたときのためにもね、MAGを半分かえそう」
「いや、大丈夫だ。さっきお前に渡したのが全部じゃないからな」
COMPを操作しようとしたヒーローを静止して伽耶がいう。
「・・・抜け目無いなぁ」
「よし、さしあたっては天野舞耶の捜索だったな」
「うん、どうする?別行動する手もあるが・・・」
「それはよした方がいいだろう・・・私が死んではお前は脱出できない、お前が死んでは私の目的は達成されないのだからな」
「一心同体の運命共同体ってわけだな」
「・・・利害の一致をそういうのなら、そうだ」
伽耶は照れたように横を向いた。


そんな伽耶をよそにヒーローが地図を開いた。
再び今後の相談が開始される。
「・・・既に行ったのは、港南区に青葉区そしてここ蓮華台」
「今までいった場所とはいえ全部回ったわけでもない、特に青葉区は一瞬いただけだ」
「まぁね、とはいえ単純な確率の問題で他から回ったほうがいいだろう」
「・・・すると平坂区と夢先区のどちらかか?」
「そうだね・・・明らかに敵が多いのは夢先区だろうけど・・・」
「では、平坂区か?」
「いや、もし夢先区にいた場合死の危険が多いことになる、だから・・・」
「夢先区か?」
「うん、僕らは夢先区だ」
「・・・僕らは?」
「平坂区は仲魔に行かせよう・・・」
そういうとヒーローはGUMPを操作する。
<妖精召喚・・・ピクシー・・・GO!>
ヒーローがこの世界で最初に仲魔にした小さな妖精、ピクシーが現れる。
「聞いてたね?ピクシー、平坂区・・・あっちの方向だね・・・に天野舞耶って人を探しに行くんだ」
「あまのまや?」
ピクシーが聞き返す。
「ああ・・・えーと・・・この人だね、名簿を破って渡そう・・・これで持てるね?」
「うん!」
「よし、この人を見つけたら僕にGUMPを通じて連絡するんだ・・・無理に話しかける必要は無いけど、怪我してたら治してあげるんだ」
「もし見つからなかったらー?」
「平坂区でどうしても見つからなかったらこう・・・左回りに港南区へ行くんだ、僕らはその逆周りで探す」
「うん、わかったー」
「MAGをあげよう・・・1000あれば足りるね?余りは君に上げる」
「!やったー、アタシ絶対見つける!!」
ピクシーは大喜びすると飛び立った。
「ピクシー!そっちじゃない・・・反対だ」
どうやら正反対の方向だったようだ。
「あ、ゴメーン」
「あーいや・・・じゃ、がんばって」
今度こそ正しい方向にピクシーは飛び立った。
「・・・大丈夫なのかあれは」
伽耶が不安そうにヒーローに尋ねた。
「・・・飛べて、治癒魔法が使えて、小さくて隠密行動ができる・・・これ以上の奴はいないと思ったんだけど」
「・・・だが、あれだぞ」
「・・・」
「・・・」
「さて、僕らも夢先区に行こうか」
「話をそらすな」
「見つかるとイイナー・・・できれば派手な格好しててくれれば・・・あ、それだと敵にも見つかっちゃうか」
「おい!」
二人は夢先区に向かった。
二人は知らない。
天野舞耶は二人の想像以上に派手な格好をしていることを・・・。
「クシュン!」
狂気の町に和やかなくしゃみが聞こえた気がした。



【ザ・ヒーロー(真・女神転生)】
状態:正常
武器:鉄パイプ、ガンタイプコンピュータ(百太郎 ガリバーマジック コペルニクスインストール済み)
道具:マグネタイト9000(諸々の使用とピクシーに渡したことにより減少) 舞耶のノートパソコン 予備バッテリー×3
仲魔:魔獣ケルベロスを始め7匹(ピクシーを召喚中)
現在地:蓮華台アラヤ神社より夢先区へ移動開始
行動方針:天野舞耶を見つける 伽耶の術を利用し脱出

【大道寺伽耶(葛葉ライドウ対超力兵団)】
状態:四十代目葛葉ライドウの人格 わずかに疲労
武器:スタンガン 包丁 鉄パイプ 手製の簡易封魔用管(但しまともに封魔するのは不可能、量産も無理)
道具:無し
仲魔:霊鳥ホウオウ(ザ・ヒーローの使役していたものを封魔、自身の使役とする)
現在地:同上
行動方針:天野舞耶を見つける ザ・ヒーローと共に脱出し、センターの支配する未来を変える

【妖精ピクシー(ザ・ヒーローの使役)】
状態:正常
武器:無し
道具:マグネタイト1000
仲魔:無し
現在地:蓮華台アラヤ神社より平坂区へ移動開始
行動方針:ザ・ヒーローの命令で天野舞耶の捜索 発見し次第ザ・ヒーローへ連絡(なのだがわかっているのかどうか・・・)

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