女神転生バトルロワイヤルまとめ
第40話 外道の所業

「う〜ん、ろくな物落とさないなぁ」
かれこれ2時間ばかり狩りをしているというのに、物がそろわない。
拾えたものといえば、アサセミナイフと、スターグローブ、兵隊の格好をしたゾンビから
引っぺがしたレザーブーツ、あとは魔石が1つばかり。
本来、2時間も狩ればそれなりに大量の物品が揃うはずだ。しかし、思った以上に収集が悪い。
「悪魔もあれだし……はぁ」
泣きついてくる低級悪魔を捕まえて、少しでも利用するため精霊にしたとこまではよかったが……
『お、精霊同士で合体できるよ』などと思って試しに合体させてみた結果。
ワケワカラン弱いマガタマの悪魔、ニギミタマとかいうのが出来ただけ。仲間もこれ一匹では心細い。
「しかたない、『巣』に突っ込んでみるか」
彼はある暗がりに向けて一歩踏み出す。おそらく、悪魔を狩る者ならで体験したことがあるだろうが、
入ったら最後、ほぼ確実に悪魔がいる、もしくは高確率で悪魔と遭遇する場所がまれにある。
悪魔が大量に密集している場所……これを彼は便宜上『巣』と呼んでいる。
とりあえず、最低限、本当に最低限だが武器も防具もそろった。低級悪魔の巣なら、飛び込んでも
問題ないだろう。そこでまとめて集めたほうが手っ取り早いと踏んだのである。
先程、巣の場所は既に発見済みだ。ネコマタが10匹以上集まっていた。
「え〜皆さん、毎度おなじみ、悪魔狩り、悪魔狩りでございます。死にたくない方は、MAG、マッカ、持
ってる道具を全てお出しください」
隠れることなく、堂々と正面から巣に突入。傲岸不遜に言ってのけた。
「人間?」「人間だ……」「まだ子供だよ?」「これだけの数相手に、なに言ってるの?」「狩るつもりかしら?」
ネコマタ達がざわざわと話し出した。その顔には、いまいち真剣さはない。当然といえば当然だろう。
――ティーンエイジャーの少年が一人、力を過信して無謀に入ってきただけ――彼女たちの感覚からすれば
そんなとことだろう。
「坊や、ここはねぇ、あなたのような子供がくるとこじゃないのよ?早くお帰りなさい」
ネコマタの一匹が彼に近づいて頬を優しく撫でて、そっと息を吹きかけるように言った。
その言葉につられて、ネコマタ達が笑い出した。
「いや、家に帰りたいのは若干同意なんだが……帰れなくってね。で、帰るためにこんなこともする訳だ」
「え?」
苦笑を浮かべ、やさしく、ダンスの相手の手を取るようにそっとネコマタの手を掴む。そして――
――高速でひねった。


「ぁぁああああああアアアアァァああ!?」
肉が纏めて引き千切れた。ブチブチとゴムを切るような音を立て、油の切れた子供の玩具のように震えるように
うずくまる。
「はーい皆さん!先程も申しましたが死にたくない方は、MAG、マッカ、持ってる道具を全てお出しください。
さもなくば皆さんにちょっとかわいそうなことをしなきゃなりません。どのくらいかわいそうかというとX指定です。
未成年は見てはいけないようなことになります。OK?」
足元のネコマタを蹴って仲間に放ってやる。先程までうるさく笑っていた連中の表情は、静かになって絶望の色が
顔に張り付いていた。実に気分がいい。
『グルルル……ルァァァ……』
それに賛同するようにラハブが姿を――うっすら、蜃気楼のようなものではあるが――表す。
更にそれを見て青ざめる。
「わ……」
「わ?」
「分かったわ……全部……全部差し出すから……お願い……見逃して……」
長だろうか?多少年長者(それでも多く見積もって外見30才だが)が絞り出すように言った。
「もちろん。じゃ、物を出してくれ」
返事はなく、おとなしく物をかき集めるネコマタ達。あっという間にそれなりに集まった。
「防具はなし、か。MAG563、魔石が1つ、傷薬2つ、ディスポイズン2つ、……あと、これは何だ?」
何か象形文字のようなものが刻まれた石版を拾い上げる。なぜか黄色い文字が煌々と光っていた。
「それは……閃光の石版よ……砕けば、封入された魔法が開放されるの……合体に混ぜることも出来る」
あいかわらず、震えた声で説明をくれた。まぁ、マハジオストーンと同じだろう。魔力の低い俺では役に立たないが。
バックにアイテムを詰め込み、
「ああ、説明ありがとうそれじゃ」
感謝の言葉を言って、
「kill them all(皆殺しだ)」
剣が走った。
アイテムを渡しに近寄っていたネコマタは、胸から上を失い、バタリと倒れた。
恐慌状態になるネコマタ達。
「そんな、見逃してくれるって!ちゃんと渡したのに!」
悲鳴が舞う中一人が問い掛けた。俺はネコマタを狩りながら一言で一喝。
「  だ  が  断  る  !  !  」
「そんな……う――」
それ以上、ネコマタが喋ることはない。なぜなら顎から上がないからだ。
はむかうネコマタを切り伏せ、逃げるネコマタ達を一匹も逃がさず潰していく。
「いいぞ ベイべー!逃げる奴はネコマタだ!! 逃げない奴はよく訓練されたネコマタだ!!
ホント この世は地獄だぜ! フゥハハハーハァー!! 」
泣き叫ぶ。狂う。壊れる。死ぬ。
そこはまさに地獄だった。
………
……


20分もした頃には、もう動くものはなくなっていた。
「フゥ、ちょっと盛り上がりすぎたな。さて、まだまだ狩りを頑張るか」
あらゆる外道を働きながら、彼は進む。優勝のために。



【神代浩次(真・女神転生if、主人公)】
状態:実に健康
武器:夢想正宗 アサセミナイフ
防具:スターグローブ レザーブーツ
道具:メリケンサック型COMP 魔石2つ 傷薬2つ ディスポイズン2つ 閃光の石版 MAG1215
仲間:ニギミタマ
現在地:春日山高校/防空壕
行動方針:消耗品、投具系の武器、防具、MAG、強力な仲間の回収

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