女神転生バトルロワイヤルまとめ
第52話 第二の、或いは最悪の再会

互いに言葉もないままに、見知らぬ街を並んで歩く。
無言の理由は、話す声で誰かに見付からないようにということだけではなかった。
先程の彼女の言葉が、ずっと、重く圧し掛かっている。
(俺を殺そうとする奴を……殺す、か……)
後ろを歩く彼女を振り向いた。それを気遣いと取ったのか、不安の表れと取ったのか、彼女は優しい微笑を浮かべる。
あなたは心配しなくて大丈夫、そう言いたげな表情だ。
それは、彼女のいつも通りの表情だった。

彼女――ベスと出会ったのは、まだ互いに幼い子供だった頃らしい。そう彼女は言っていた。
共にセンターでの特殊な教育プログラムを受け、指導者となるべく育てられたのだと。
ザインや、アルカディアの統治者のギメルともその時から一緒だったらしい。
そんな話を聞いても、何も覚えていないこちらには全く実感はない。
けれど、彼等にとって、そして恐らく記憶を失う前の自分にとっても、その絆は特別なものだということは解った。
中でもベスにとっては、それこそが全てのようだった。
センターで「再会」して、行動を共にするようになってからずっと、彼女は献身的に守ろうとしてくれた。
華奢な体と細い腕で、怯みもせずに悪魔の前に立ちはだかって、凛とした眼差しで彼女は言うのだ。
「アレフには手を出させない」と。
自分にとっては出会ったばかりの彼女がそこまで尽くしてくれることには、最初は戸惑った。
自分のために彼女が危険な目に遭うのも心苦しかったし、尽くされる理由も解らなかった。
ただ、幾つもの戦いを一緒に切り抜けて、次第に解ってきたことがある。
ベスは他の道を知らない。何故尽くすのか、などという問いは無意味なのだ。
彼女は「救世主のパートナー」として、救世主に尽くすことだけを教えられてきたようだった。
それが、センターでの特別な教育という奴らしい。
(……だからって)
平然と、他の全員を殺すつもりだったと言ったベス。
彼女は決して冷酷な人間ではない。ミレニアムの人々のことを心配し、労り、皆の幸せを願う優しい少女だ。
ザインのことも、共に育った友人として大切に思っているはずだ。
しかしその優しさも、友情も、彼女にとっては「救世主に尽くす」ことと天秤に掛ければ遥かに軽いものなのだ。
彼女のそんな所を、恐ろしいと思う。同時に悲しいとも思う。
自分が本当にセンターの言う通り「救世主」なのかどうかは知らない。何かを救う力があるかどうかも判らない。
ただ、彼女のことは守って――いつか、自由に生きられるようにしてやりたいと思っていた。

こんな所に呼ばれなければ、その願いは叶っていただろうか。

静寂を破ったのは、どちらの言葉でもなかった。
――いや、静寂のままに、その声は光と共に降り注いだのだ。

「諸君、夜の闇は去った」

朗々と、高らかに響く声。
畏怖を感じずにはいられない、朝の訪れの宣言。
聞こえたのはスピーカーから聞こえた声だった。憎むべき、この殺戮のゲームの主催者。
しかし、怒りは湧いてこなかった。恐怖もなかった。
ただ、今から告げられる言葉を、自分達は等しく受け入れねばならないのだ――そう感じた。

声は、命を奪われた者達の名を読み上げる。
一人、二人、三人。呼ばれる名を数えて指を折る。
四人、五人、六人。まだいるのか。数少ない殺人者が何人もを殺したのだろうか。
殺された者の数だけ殺した者がいるのだとすれば、あまりに救いがない。
七人、八人、九人、十人。知らない名前ばかりが淡々と続く。
しかしこの街のどこかでは、愛する者の名を聞いて嘆いている者がいるのかもしれない。
そして十一人目――最後に告げられた名前。
(……え?)
どこか他人事のように感じていた、この街のどこかでの誰かの死。
それが突如として現実味を帯び、空が割れてガラスにでも変わって降り注いできたかのように突き刺さる。

「精々殺しあうがいい――」
嘲笑うかのような声が、空洞になった自分の中に延々と反響し続けるような感覚。
いつしか周囲を覆い尽くしていた白い闇は去り、そこには元の、無人の街の光景があった。

「……嘘だ」
呆然としたまま、天を仰いで呟いた。
隣に立つベスも青ざめた顔をして、何も言わずに立ち尽くしていた。
信じられなかった。悲しみの感情も麻痺していた。ただ、衝撃に打ちのめされていた。
「そんなの、嘘だ……」
本当に嘘であればどんなにいいだろう。
そう思いながら――受け入れることを拒絶しても事実は覆らないと、本当は思い知っていた。

あれから、二人はまた無言で歩き出していた。
話そうにも衝撃の余韻で言葉が出てこなかったし、ベスも気を遣ってか黙ったままでいた。
あの放送は、内容から察するにこの街の全員に聞こえていただろう。
しかし、知らされた事実は口にするにはあまりに重かった。

その沈黙はまたしても、どちらの声でもなく、外からの音によって破られた。
物音――と呼ぶには、あまりに派手で物騒な破壊音。ガラスが割れる音だ。
方向は進む先。距離は判らない。住人のいない街の静寂の中では、音もかなり遠くへ届く。
「今の……!」
足を止め、ベスの方に振り向く。彼女も緊張の面持ちで立ち止まり、頷いた。
この周辺で戦闘が起こっている。それも、恐らくかなり派手な戦闘だ。
そして戦闘が起こっているというのは、少なくともやる気になっている者が一人はいるということだ。
「アレフ……どうするの?」
不安げに、ベスが問う。
その表情に、少し安心した。彼女もできるならば戦いたくなどないのだと感じられたからだ。
このまま進めば、戦闘に巻き込まれる可能性が高い。
しかし、誰かが殺されようとしているかもしれないのを放っておいていいのか。
迷う。自分と彼女の身を危険に曝して、味方かどうかさえ判らない相手を助けに行くべきか。
もしかしたら戦っているのは双方ゲームに乗る気の参加者で、どちらが生き残っても敵になるかもしれない。
関わりを避け、引き返すのが賢明な選択だ。それは解っている。解り切っているが。
(ザイン、君ならどうしていた?)
離れ離れになったまま、生死さえ定かでない友の顔が頭を過ぎる。
危険を冒してまで戦いを止めるよう呼び掛け、そのために重傷を負うことになった彼。
それでも後悔など微塵も見せず、ゲームを止めてやるという意志を曲げなかった彼。
生きてまた会おうと約束した。それから、また一緒に脱出の方法を探そうと。
死んでしまったら約束は果たせない。
けれど、助けられるかもしれない誰かを見捨てて生き残っても、彼との約束を破ることになってしまう気がした。
それに――
(……ヒロコさん)
ヴァルハラで出会った、テンプルナイトだという――それより前から知っていたような気がしていた、不思議な女性。
そのヒロコが、もういない。センターで別れた時に、彼女はまた会おうと言っていたのに。
約束は果たせないままになってしまった。
ヒロコの他に、名前を読み上げられた者が十人。彼等にもきっと果たせなかった約束や、叶えたかった夢がある。
そして残されて悲しんでいる友が、もしかしたら家族や恋人も、この街にいる。
同じ悲しみを味わう者が増えるのは嫌だった。もう、犠牲は出したくない。
「……行こう」
「解ったわ」
決断を示すと、ベスの表情から迷いは消えた。
戦いに巻き込まれるかもしれないという不安や、戦いを避けたいという思いは変わってはいないのだろう。
しかし彼女は、「救世主」に道を示されている限り迷うことはないのだ。

今いる場所は、地図によれば夢崎区という区画。
ベスと合流してから一緒に地図を確認し、現在地を割り出した。彼女は自分が転送された位置と辿った道を覚えていたのだ。
それからまずはザインと別れた場所に戻ったが、時間を掛けすぎてしまった所為か、辺りにはもう誰もいなかった。
ザインはどこかに逃げ延びていて、撃ってきた男も立ち去ったということだ。
合流の手掛かりがない以上、その辺りをうろうろしても仕方がない。
ベスの提案で、ひとまず誰かに襲われても対処できるように装備を整えようということにした。
銃は持っているものの弾には限りがある。できれば弾丸と、近接用の武器を調達したかった。
それで、店などの多そうな場所ということで夢崎区へ向かうことにしたのだ。
運良く辿り着くまでには何事もなかったが、繁華街となれば誰かに出会うだろうことは多少は予想していた。
その時にどうするかまでは考えていなかった――考える余裕がなかったのだが。

再び、ガラスが割れる音がした。今度は先程に比べて僅かに近い。
まだ戦闘は続いている。すぐに終わってはいないということは、ある程度実力のある者同士の戦いなのだろうか。
「ベス。武器を用意しておこう」
走る速度を緩め、後ろを走る彼女に言う。
ベスは頷いて、足は止めないままザックから武器を取り出す。
縁を鋭く磨き上げられたチャクラム。それが彼女に支給された武器だった。
離れた場所からでも攻撃できるが、相手に刺さってしまえば自分の手には戻ってこない。
銃と手投げ武器。これだけの武装では心許ないが、何も準備しないよりはましだ。
ホルスターに収めていたドミネーターを、いつでも撃てるよう抜く。

道なりに走る内、大通りに出た。音が聞こえた場所は、恐らくまだまだ先だ。
通りを横断するかと考えた時、突然視界に動くものが飛び込んだ。
「……? 何か来る!?」
少し離れた所で、通りの反対側から獣のようなシルエットが飛び出してきた。
飛び込む道を探しているのか、ほんの少しだけスピードを落としてこちらへ走ってくる。
「あれは……ケルベロス?」
その姿には見覚えがあった。かなり高位の魔獣、ケルベロスだ。マダムから借り受けて行動を共にしたこともある。
走ってきたケルベロスは、その時の個体によく似ていた。いや、もしかしたら同一個体だろうか。
さすがに顔の区別はできないが、体の大きさや毛並み、色合いはマダムのケルベロスと同じだ。
そして、ケルベロスの背には二人の人間が乗っていた。
男と女。いや、少年と少女――見知らぬ少女と、どこかで見たことのある気がする少年だ。
少年の衣服とケルベロスの白い毛並みは血に汚れていた。そして彼等の動きは、明らかに逃げるものだった。
追われて負傷しているのか。ならば。
「こっちだ!」
ベスに目で合図してその場に留まらせ、独りで通りに飛び出す。
銃は持ったままだが、撃つ意思はないことを示すため頭上に掲げた。空いた左手を振って存在を主張する。
大通りの道幅は広いが、そこから折れる道となると大した幅はなく、ケルベロスが飛び込むには向かない所がほとんどだろう。
しかし通ってきたこの道なら、ケルベロスが余裕で通れるだけの幅がある。
ケルベロスがこちらに気付き、一瞬警戒するように動きを止める。が、戦意がないことはすぐ悟ったらしい。
追っ手の姿は、通りの向こうにはまだ見えない。
「こっちに逃げろ!」
曲がり道を示すと、ケルベロスは器用にカーブを描いて方向転換し、そこに飛び込んだ。
彼等を追っていた相手に見付からないよう、すぐ後に続く。

「ヒトマズ……離レタヨウダナ」
曲がり道に身を隠すと、ケルベロスは荒い息を整えながら呟いた。
かなり疲れているようだが、いつでも走り出せるようにか、座ろうとはしない。
「……ありがとう」
ケルベロスに乗った少年が、安堵の息をついてこちらを向いた。その顔を見て、思い出す。
――ザ・ヒーロー。
トレードマークのアームターミナルこそ身に着けていないが、コロシアムで見た初代チャンピオンの像に、彼は瓜二つだった。

「追われてたのか?」
「ああ。あまりのんびりと休んでいる時間はない」
問いに答えたのは少女だった。見た目は大人しそうな印象の少女だが、その口調は姿に似つかわしくない。
「向こうは多分レーダーを持ってる。一キロ以内に近付いたら探知されるらしい」
ベスの治癒魔法で手当てを受けながら、ザ・ヒーローが補足した。
「やっと範囲外に出られたようだが……また近付いてしまったら、居場所は筒抜けになる」
「一キロか……下手に様子も見られないなあ」
大通りの様子を窺おうとしていた首を慌てて引っ込める。尤も、レーダーが相手では隠れたところで無意味なのだが。
「持っておくかい? こっちは二人とも持ってるし」
ザ・ヒーローが双眼鏡を取り出し、差し出してきた。
「あ、どうも」
礼を言って受け取る。像でしか見たことのなかった英雄がこうして目の前にいると思うと、やはり不思議だった。
違っているのは、あの像は大人の姿だったが、ここにいる彼は少年だということ。
精緻に造られた、顔立ちまでもはっきりと再現している像だったお陰で、同一人物だということは判るが。
(想像してたのと違うな……)
コロシアムのチャンピオンで、悪魔を自在に操る英雄。そのイメージと目の前の少年は随分違う。
ザ・ヒーローはコロシアムの闘士達にとって偉大な先達であり、憧れだった。強さと栄光の象徴だった。
だから、もっと勇ましそうな人物を想像していたのだ。
かと言って、幻滅した訳でもない。
寧ろ他の参加者と行動を共にし、戦闘を避け、出会った自分達に道具を差し出す彼を見て――嬉しいと思っていた。
定冠詞を付けて呼ばれるほどの偉大な英雄。彼は強いだけでなく、優しいヒーローだったのだ。
(……どう話していいか、迷うな。敬語ってのも変かな。見た目は年下だし……)
こちらは相手をよく知っている。相手はこちらを、恐らく知らない。
非常事態で、危険な敵も近くにいるかもしれない状況だというのに、どうでもいいことで悩んでしまう。
お陰で緊張感が幾分和らいだのは、いい影響だったが。

双眼鏡を覗き込んでしばらくは、レンズ越しに見える風景の中に動くものは何もなかった。
レーダーの範囲が一キロなら、双眼鏡で見えたらすぐ反対側に逃げれば大丈夫だろう。
相手の速度がこちらを大幅に上回ってでもいない限り、だが。
「追ってきた奴って、車とか乗ってる……んですか?」
「いや……ただ」
ザ・ヒーローが答えたのと、視界に変化が現れたのはほとんど同時だった。
思わず双眼鏡から目を離し、息を呑む。その反応に、ケルベロスの上の二人も気付いたようだった。
「――見えたのか」
少女が硬い声で問う。答える言葉は、すぐには出てこなかった。
心臓が激しく脈打ち始める。そこに見たのは、見えるはずのない姿だったのだ。
「アレフ? どうしたの?」
「……ヒロコさんだ」
先程の放送で、彼女は死んだと告げられていたはずだ。
それに、今見ている方向には、ザ・ヒーロー達を襲った敵がいるはずなのだ。

「ヒロコというのか。あの女は」
少女の言葉に、また心拍数が跳ね上がる。
あの女、と言った。二人を追っていたのは女なのだ。
「……君達を追ってた奴と同じかどうかは、判らないが。通りを反対側に歩いて行こうとしてた」
同一人物であるはずはない。ヒロコは無益に人を殺すのを好むような性格ではなかった。
それに彼女は、あの放送によれば死んだはず。
それでも、確かめる必要はあった。そして確かめるのが恐ろしかった。
悪魔や魔法の力が働いている場所では、死体は「絶対に動かないもの」ではない。
まさか、という小さな恐れが次第に膨れ上がり、胸を圧迫する。
「金髪で……肩くらいまでの、ソバージュの。レザーの服を着た……」
「間違いない。そいつだ」
冷徹な宣告を下したのは、ザ・ヒーローだった。
「まだ一キロ以内に入っていないなら、すぐ離れれば逃げ切れるかもしれない。
ここを離れよう。気付かれる恐れがあるから、双眼鏡で見るのももう駄目だ」
「……ヒロコさんが、あなた達を殺そうと?」
信じたくない。理解したくない。現実を否定する言葉ばかりが胸に溢れ返って、それ以上は何も声にならない。
「信じられない気持ちは解る。知り合いだったんだろう?」
ザ・ヒーローが言う。答える言葉も見付からず、子供のようにただ頷いた。
ベスが横に歩み寄って、手を握ってくれる。その手の温もりと込められた力強さが、少し理性を取り戻させてくれた。
「ヒロコ、か。放送で呼ばれた名だな」
少女は参加者のリストを取り出し、確認するとそれをザックに戻した。
「放送は聞いただろう。知っての通り、あの女はもう死んでいる。何者かにネクロマの術で操られているんだ」
「酷い……」
ベスが俯き、肩を震わせる。
ヒロコは死んだ。
今は誰かに操られ、人間を襲う生ける屍となっている。
そしてザ・ヒーローとこの少女を襲い、逃げた彼等を追って彷徨っている。
その説明で、全ての辻褄は合った。――しかし、半ば無意識に口から洩れたのは拒絶の言葉だった。
「……嘘だ」
理解するにも、受け入れるにも、許容量を超えていた。
「受け入れ難いだろうが事実だ。私は鉄パイプであの女の胸を貫いた。胸に風穴が開いても、奴は平然と追ってきているんだぞ」
「伽耶!」
少女の言葉をザ・ヒーローが制止する。
「すまない。……辛いと思うが、本当なんだ。今の彼女は、君の知ってる人じゃない」
言葉の意味が頭に入って来ない。ザ・ヒーローは泣きそうな顔をしている。きっと自分も、今は似たような顔だろう。


「――確かめる」
混乱し、ごちゃごちゃになった思考の中で、辛うじてその意志だけを声にする。
「ヒロコさんの心は残ってないのか……確かめてやる」
「止めておけ。力を抑えることを知らないゾンビの戦闘能力は尋常じゃない。自分まで死ぬだけだ」
伽耶と呼ばれていた少女が首を横に振る。が、思い留まる気はなかった。
「これ、ありがとうございます」
ザ・ヒーローに双眼鏡を返す。目の前に飛び出すのだから、もうこんな物は必要ない。
「逃げて下さい。あなた達も、ケルベロスも疲れているでしょう。俺がヒロコさんの相手をしてる間に」
「待ってくれ、無茶だ――」
「無事で生き延びて下さい。ザ・ヒーロー」
何と言われても、気持ちは変わらなかった。動転して、自分の身を省みることを忘れていたのかもしれない。
しかし、ザ・ヒーロー達を巻き込む訳にはいかない。彼等が逃げる道とは反対の方に、ヒロコを誘導しなくては。
それには、まず通りの反対側に引き付けることだ。
そこまで考えたところで、ほとんど自然に体が動き出していた。対岸を目指して大通りに飛び出す。
通りの対岸から追えば、一キロの範囲に入ってレーダーに探知されたとしても、
ヒロコがこちらに気付いて向かってきた時にザ・ヒーロー達まで発見されてしまう危険は少なくなる。

通りを渡り切った所で振り向くと、こちらを追ってくるベスの姿が見えた。
できるなら、彼女は巻き込みたくなかった。しかし止めてもきっと無駄だろう。
彼女はいつだって言うのだ――「アレフについて行く」と。
「……行こう」
彼女が追い着くのを待って、その手を取った。



<時刻:午前6時過ぎ>
【アレフ(真・女神転生2)】
状態:激しく動揺
武器:ドミネーター
道具:なし
現在地:夢崎区
目的:ヒロコの状態を確かめ、ついでに気を引いてザ・ヒーロー達を逃がす

【ベス(真・女神転生2)】
状態:正常
武器:チャクラム
道具:?
現在地:同上
目的:アレフを守る

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