女神転生バトルロワイアルまとめ
第98話 手負いの獣が見た希望

「……おい」
声を落として明が呟く。そのただ一言で、キョウジは問い掛けの意味を察した。
体は思い通りには動かないが、頷く程度はできる。
「ああ、気付いてる。近くに……いるな」
激戦を繰り広げた春日山高校前を後にし、歩き出してから二時間弱。
何者かの濃い気配を、キョウジは感じていた。恐らく明も同じものを感じ取っている。
戦い慣れているとはいえ、キョウジには霊感のようなものはあまりない。
姿の見えない人間を気配だけで察知することができるほど、感覚は研ぎ澄まされてはいないのだ。
つまり、その何者かの気配がわかるということは。
「相当、やばい相手だな……」
キョウジの言葉に、今度は明が頷いた。
気配と言うより妖気、いや瘴気と表現した方が相応しいかも知れない。
見えない位置にいても感じ取れるほど、強烈な気をその人物は発している。
いや――人物と言うよりも、悪魔だろうか?
あの神代という少年も人間離れした強さだったが、彼でさえここまでの存在感と圧迫感を醸し出しはしなかった。
今この近くに潜んでいる存在が、人間の力を超えたものであることは間違いない。
そして、もう一つわかる。
奴は、やる気だ。

明は先程奪った荷物の中の魔石で右手の傷は癒したものの、キョウジを守るほどの余裕はないだろう。
結果的に互いを助ける形にはなったものの、彼の戦い方は誰かを守るとか、そういう類のものではない。
キョウジ自身はというと、麻痺したままでまともに動けない。
当初は自力で歩こうとしていたのだが、十数分ともたずにへばってしまい、今では明に肩を借りている始末。
強敵との遭遇タイミングとしては最悪だ。こんなコンディションでなければ、まだ切り抜ける自信はあるが。
高校の前に留まっていては銃声や声を聞き付けた者と鉢合わせ、弱っている所を狙われる危険があると思って移動を開始したのだが――
結果論ではあるが、動いたのは失敗だったか。いや、動くにしても別の方向を選ぶべきだった。
キョウジが最初に転送された方向、先程の高校から南方面には、麻痺治療薬を置いていそうな場所はなかった。
明達と出会う前に薬屋のチェーン店は見掛け、覗いてみていたが、回復役はほとんど撤去済。
主催者の念の入れようには呆れたものだ。
学校の中にも、明が漁ってきた以上の薬品類はなかったらしい。
神代から奪った荷物の中にも残念ながら、お馴染みのディスパライズは見当たらなかった。
北に進めば、地図によると夢崎区。繁華街なら物資は多そうだ。
それも同じように取り払われてしまっているかも知れないが、少なくとも新しい場所へ行くのは無駄足にはならない。
そこで、二人は北に進路を取っていたのであるが。

この場を切り抜けるには、どうすればいいか――キョウジの逡巡は、突然打ち切られる。
肩を貸して支えていた彼の体を、明が道路の隅に放り出したのだ。
尻餅をつき、思わず抗議の声を上げようとして、そういえば大声を出す訳にはいかないと気付く。
恨めしげに視線を向けると、明はにやりと不敵な笑みを浮かべ、肩に担いだ二つのザックをキョウジの横に放った。
明の殺された仲間の持ち物や神代から奪ったものなども、既にこの二つのザックに移し替えている。
「ここにいろ」
潜む何者かに聞き取られないようにか、低い声で明が言う。
「独りで戦う気か」
「今のあんたじゃ足手纏いだ」
遠慮会釈もなく言い捨てて、明は地面に置いたザックから幾つかの品を取り出した。
まず、それなりに防御効果がありそうなグローブを手にはめる。
今まで使っていた重そうな刀ではなく、神代から奪った刀――無想正宗を右手に。拳銃を左手に。
最後に、残った三個の魔石の中から二個を制服のポケットに入れた。
足手纏いになるというのを否定できないキョウジとしては、黙々と装備を整える明をただ見ているしかない。
「……後は、置いてくか」
身軽さを保てる程度の装備をすると、明はキョウジを一瞥した。
重い道具と同じ、文字通りの「お荷物」を見るような視線を向けられるのだろうと覚悟していた。
が、違った。ばつの悪そうな、意外に穏やかな顔。
ふんと鼻を鳴らして、明はキョウジの方に残った一個の魔石を投げて寄越す。
「いいのか。持っていかなくて」
放られた魔石を辛うじて受け止めて、手の中に収める。
「話の通じる奴は生きててくれると助かるからな」
「……ありがとう。気を付けてくれ」
明はそっぽを向いて再び鼻を鳴らすと、足音を殺し、油断のない動きで道路を駆け出した。
キョウジを巻き込まないように別の場所に相手を釣り出そうというつもりだろう。
力になれないのが心苦しいが、彼の気遣いはありがたかった。

「どこに居やがる。出て来い」
皮膚をちりちりと焦がすようにすら感じられる、人ならざるものの気配。
それを辿り、キョウジを降ろした場所が見えない位置まで動いてから明は立ち止まる。
この近くに何者かがいる。それは嫌と言うほど感じるが、正確な方向までは掴めなかった。
ある程度近付いた辺りで、その殺気のあまりの濃密さに感覚が狂ってしまったような気がする。
しかし、明は怯んではいなかった。
悪魔人の強靭な肉体こそ今は持っていないが、積み重ねた戦いの経験は失われていない。
ガーディアンの力もある。戦える自信はあった。
そして、彼には逃げるという選択肢は存在しなかった。
気に入らない相手は叩きのめす。それが彼の流儀だった。一介の不良として燻っていた頃から、ずっと変わらない。
「出て来いよ、腰抜け野郎」
挑発の言葉を吐き出しながら意識を研ぎ澄まし、周囲のあらゆるものに注意を向ける。
一瞬でも油断したら喉笛を食い千切られかねない。そんな気配を持った相手だ。
が、その「人ならざるもの」は明の予想を裏切る形で現れた。
「勇敢ね」
くすっと笑う声がした。澄んで良く通る女の声。
道の向こうから、人影が近付く。彼女がこの禍々しい気配の主であることは直感で理解できた。
(女……?)
悠然と歩み寄ってくるのは、白髪の華奢な少女。年頃は明とそう変わらないだろう。
(――いや、ただの女じゃない)
彼女の姿は、一見してわかる異様なものだった。髪の色だけではない。
少女の腕は片方、肘から下が欠損していた。それが示す事実は一つ、彼女は既に誰かと戦ったのだ。
しかし重傷を負わされているにも関わらず、彼女は余裕に満ちた笑みを浮かべている。
苦痛も、焦りも微塵ほども感じられない。あるのはただ――殺気だ。
そしてもう片方の腕は、人外のものとしか呼びようがない形状に変化している。
(どうやら同類、って訳か……)
化け物なら見慣れている。魔界に落ちた学校で見た悪魔達。そして悪魔人と化した自分自身。
今更、恐れる気持ちが湧いてくるはずもなかった。
正面から睨み付ける。少女は涼やかな微笑のまま、表情を変えない。
「勇敢だし、口だけでもなさそう。楽しませてくれそうね」
「……遊びに付き合ってやるほど暇じゃねえ」
互いの殺意を確認すれば、言葉はそれで充分だった。
明は無想正宗を握り締め、アスファルトの地面を蹴る。少女はそれを、微笑を湛えたまま正面から見据えた。
距離は一瞬で詰まる。構えを取る様子もない少女に向けて、明は浅い斬撃を繰り出した。
牽制のつもりだった。戦いの最初の一手。そのまま喰らってくれるなどとは期待していない。
が、起こったのは明の予想の範囲を超える出来事だった。
少女の異形の腕が更に捻じ曲がり、不規則な軌道を描いて明に向かい伸ばされたのだ。
その勢いで、斬撃は軽々と弾かれる。
驚きに僅かに反応が遅れる。手から離れた無想正宗が、乾いた音を立てて地面に転がった。
女のものではありえない――いや、人間のものですらありえない力と速度で、異形の腕は更に迫り来る。
心臓を抉ろうとしているのだろうか、黒い腕が正確に左胸を狙う。
明はそれを、避けなかった。
少女が侮蔑の表情をする。これだけで終わるなど、つまらない相手だとでも言うように。
それとは対照的に、その攻撃が心臓の位置を捉える瞬間――明は、少女に見せ付けるように笑みを浮かべてみせた。

「く……っ!」
小さく呻き、よろめいたのは少女の方だった。
明には何の痛手もない。体勢を崩してさえいなかった。
(よし。狙い通りだ)
敵の隙を明は見逃さない。再び大地を蹴って間合いを詰め、至近距離まで近付いてから左手の拳銃を突き付けた。
狙うのは、剥き出しの肩。
ほとんどゼロ距離でトリガーを引く。銃声と共に血飛沫が飛んだ。
「よくも……!」
少女の瞳に、声に、憎悪が滲んだ。肩を撃たれた程度では大した痛手にならないらしく、異形の腕が再び伸ばされる。
胴を狙っても自分が傷付くだけだということは悟ったはずだ。次に狙ってくるのは頭か、脚か。
攻撃の軌道を見切ろうと、少女の姿をした化け物を睨む。
少女の華奢な体とはアンバランスな黒い腕が振り上げられる。上だ。
この少女の力は尋常ではないが、ガーディアンの加護を得た明もまた人外の膂力を備えている。
動きさえ読めれば、受け止められるはずだった。
――そう、動きさえ読めれば。
異形の腕は、受け止めようと構えた明の頭上で突如、幾つにも枝分かれした。
触手状になったそれは明の腕に突き刺さり、或いは頬を掠め、そして足元まで達して絡み付く。
巨大な腕による重い一撃を予想していた明は、その攻撃には無防備に等しかった。
触手に足を引かれ、バランスを崩した所に別の触手が迫る。目の前に。
激痛と共に、視界に赤い閃光が走った。
「ぐぁ……あああぁぁっ!」
悲鳴と言うよりほとんど咆哮に近い絶叫が、明の喉から迸る。
痛みと、怒りと、なお燃え上がる闘争心。それらが混じり合い、明の中で渦巻き、憎悪を湧き起こらせる。
目の前は真っ赤に染まり、何も見えない。
出血で視界が妨げられただけなのか、今の一撃で完全に目を潰されたのかは判断が付かない。
そんなことを考えている余裕も、気にする冷静さもなかった。
無我夢中でガーディアンの力を解放する。明の足元から炎が吹き上がり、絡み付いた触手を灰にした。
異形の腕が遠ざかるのを感じる。炎に焼かれながら追撃を続ける気は、さすがにないようだ。
しかし、退く気がないのは二人とも同じに違いなかった。少女の放つ殺気は、全く減じた様子がない。
「まだやる気があるなんて、面白いじゃない!」
優位を取り戻したゆえか、幾分余裕の戻った調子で少女が言い放つ。
その声には、先程までになかった熱が篭もっている。
「さっきは不覚を取ったけど……種はその服ね」
明の制服は、攻撃を受け止めた左胸の部分が破れている。そこから覗くのは髑髏の稽古着。
物理攻撃を完全に遮断し、攻撃してきた力をそのまま相手に返す防具である。
それに覆われていない部分にまでは効果を及ぼさないのが難点ではあるが、物理攻撃を主とする相手には非常に強力だ。
支給されたこの防具を、明は制服の下に密かに着込んでいたのだ。

空気の動きを感じる。少女が動いたことを、明は知覚した。
「同じ手は二度も通用しないわよ」
さも愉快そうに、それこそゲームでもしているような口調で少女が言い放つ。
「……うるせえんだよ」
その余裕に憎悪を煽られ、明は吐き捨てる。
目が見えない今、攻撃を見切って避ける、或いはガードすることは難しい。となれば、作戦は一つだ。
ぎりぎりまで引き付けようとタイミングを計る。動くのが一瞬遅ければ負け、それでゲームオーバーだ。
触手が空気を切り裂き、目の前まで迫ってきた――と感じたのと同時に、精神を集中する。
ガーディアン、魔神ラーの力が流れ込む。
「喰らえ……マハラギダイン!」
怒号と共に、魔力を一気に放出する。膨大な熱が溢れ出すのを周囲に感じる。
「早いわね。二度は通じないと言ったでしょう?」
一瞬にして燃え上がった炎の轟音の向こうから、嘲笑の響きを帯びた少女の声が聞こえる。
炎が自らの場所まで届かなかったことで、明がタイミングを見誤ったと思ったのだろう。
が、それは誤算だ。
誤算だというのを思い知らせてやろう、と明は思う。このタイミングこそ、彼の狙い通りなのだ。
行く手に燃え上がる炎の中に、いや、炎の向こうに明は飛び込んだ。
「これは一度目だ」
「なっ……」
すぐ鼻の先から、少女の狼狽した声が聞こえた。
自らの生み出した炎に突っ込み、衣服に火を纏った明は、そのまま正面の敵に体当たりを喰らわせる。
人間離れした化け物とはいえ、体格は少女。その華奢な体は簡単に吹き飛んだ。
まだ煙を上げる衣服と火傷を構いもせずに、明は気配で少女を探り当てる。
視覚が絶たれたことで他の感覚が研ぎ澄まされたためか、濃密な殺気にも慣れてきたためか、今なら彼女の位置は正確に掴めた。
死の危険を前にして、生存本能によって普段以上の能力が引き出されているのかも知れない。
倒れたまま未だ体勢を立て直していない少女に組み付き、執念で握ったままだった拳銃を右手に持ち替える。
先程傷を与えた肩の付け根に近い辺りに銃口を突き付け、トリガーを引く。
少女が低く呻いた。返り血が手に飛んだのを感じる。
同じ所を狙って続けてトリガーを引いたが、手の震えと相手の抵抗のため狙いは多少外れたようだ。
が、少女の体から更に大量の血が流れ出したのは感触でわかる。ダメージは大きいはずだ。
「くたばれ……」
この拳銃の装弾数は三発。先程神代から奪って弾を詰め替えた時に確かめていた。
つまり、もう弾切れだ。拳銃を投げ捨て、抵抗の弱まった少女の喉に手を掛ける。
殺れる。そう半ば確信を持った時だった。
聞こえるはずがない銃声を、明は聞いた。
今まで持っていた銃は弾切れで、つい今しがた投げ捨てた。敵の少女は銃など持ってはいない。
キョウジは離れた場所に置いてきたし、ろくに動ける状態ではないはずだ。
だとしたら、今の銃声は何だ?
――自分の脇腹に突き刺さった何か、鋭い痛みと流れ出す血の感触は、何だ?

倒れた女を組み敷いていた男がもんどりうって倒れ、アスファルトの上に転がった。
危ない所だった。安堵に溜息をつき、倒れたまま動かない女に駆け寄る。
只ならぬ気配が漂っている通りに踏み込んでみたら、いきなり目撃することになった戦闘の光景。
遠目では詳しい状況まではわからなかったが、それなりに戦い慣れていそうな男が細身の女を組み敷いていた。
そして、女の片腕は肘から先がなかった。相当の重傷だろう。
もう片方の腕は体勢的に見えなかったが、例えもう片方は無事だとしても片腕切断の状態で戦う者はそういまい。
その女に、男は止めを刺そうとしているように見えた。
この状況から考えられるのはまず、男が女を襲い、傷を負わせた上で殺そうとしているという状況。
そうでないとすれば、先に攻撃したのは女だが、男が返り討ちにしたという状況。
前者だとすれば、女を助けなければならない。
もし後者だとしても、男は片腕を落として戦意も戦闘能力もほぼ失っているだろう女に止めを刺そうとしているのだ。
それも、止めたかった。
止めようとしたために男が命を落としたとしても、戦えない相手を殺そうとするような者なら仕方ない、とも思った。
もし女が男にとって大事な誰かの仇で、正義はないと知りつつ殺意を抑えられないのだとしたら、というのも一瞬考えた。
しかし、それ以上考える余裕はなかった。
そしてたった一瞬の猶予で思考を巡らせ、達した結論は――「それでも許されるべきでない」。
理屈よりも感情が下した判断に近かった。
殺されようとしている女に、守れなかった彼女達を重ねてしまったのかも知れない。
自己嫌悪と自罰意識ゆえに、復讐のためなら尚更許せないという思いが働いたのかも知れない。
――そんな自身の胸中を分析するだけの経験も、説明する言葉も、アレフは持ち合わせていなかったが。
だから彼は、言葉の代わりにトリガーを引いたのだ。

「大丈夫か? 君……」
銃を下ろし、駆け寄ったところでアレフは気付く。
先程発砲した位置からは見えなかった、女のもう片方の腕。その異形の形状。
絶句して一瞬立ち竦んだ所に、背後から男が叫ぶ。
「馬鹿野郎っ……離れろ!」
声の主は、女を助けるためにアレフが撃った男。助けようとした女は、悪魔としか思えない姿だ。
この女は悪魔だったのだろうか。では男の方が、襲われた被害者?
男の方を振り向いた瞬間、女が殺気を膨れ上がらせたことに混乱したアレフは気付かなかった。
横たわったままの女の体から、闇が溢れ出すかのように漆黒の何かが伸びた。
変形した腕だ、と気付いた時には遅かった。受け止めようとした腕が空を切る。
女の異形の腕はアレフの横を通り抜け、その向こうに倒れた男の胸に突き刺さり、嫌な音と共に赤い飛沫を上げた。

男の胸から、そして口から鮮血が溢れ出る。
それと同時に、真紅のエネルギー体が男の体から立ち上り始めた。それは吸い寄せられるように、女の手元に向かう。
倒れていた女がゆらりと立ち上がり、艶然と微笑んだ。
肩には銃創があり血を流してはいるが、彼女の表情には負傷を感じさせない余裕が漂っている。
「あなたに助けられたようね。お礼は言っておこうかしら」
「お前が、先にこの人を?」
声が震えた。怒りと悔恨と、取り返しの付かないことをしてしまったという絶望感に。
「彼はとても楽しませてくれたわ。あなたが乱入してこなかったら、私でも危なかったわね」
この女が悪魔なのか人間かはわからない。ただ一つ、アレフは確信する。
彼女は殺すことを楽しみ、それに罪悪感の欠片も抱かない存在であるということを。
「……許さない」
銃口を女に向ける。トリガーは未だ引かない。闇雲に発砲してどうにかなる相手ではないことは悟っている。
「逃げないのね。あなたからも、沢山マガツヒが貰えそう。だけど……」
笑みを浮かべた女が、突然天を仰いだ。
目の前の事態を把握するのに必死だったアレフは、気付いていなかった。主のもとへ舞い降りようとする悪魔の影に。
輝く翼を備えた巨鳥が、急激に高度を下げる。
急降下の勢いで飛び掛ろうとする巨鳥に向け、翼を狙ってトリガーを引く。
しかし銃弾はその美しい翼を傷付けることなく、巻き起こされた風に容易く弾き飛ばされる。
巨鳥の鋭利な爪が、もう眼前まで迫っていた。
「っ畜生!」
毒づきながら地面に転がって、辛うじて攻撃は避ける。
しかし巨鳥の翼によって生み出された風圧は凄まじく、目も開けていられない。
「これ以上消耗してまで戦うほど、私は愚かじゃないの。また会いましょう」
風の音の向こうで、女の声がした。
舞い上がる埃に塗れて顔を挙げた時、巨鳥の姿は既に空中にあった。
そして、その足に異形の腕を絡み付かせた女の姿も、もう遠い。
「待て!」
声を限りに叫んだが、応えは返らない。
今はもう顔も見えない距離にいる女が、嘲笑っているような気がした。

地面に這い蹲ったまま、しばし呆然と見送って――それから、アレフは思い出す。
「……君! しっかり……」
跳ね起きて、倒れたまま動かない男に駆け寄る。
男の胸には、異形の腕に抉られた深い傷。心臓からは逸れたようだが、出血が酷い。
脇腹には銃創。他ならぬアレフが撃ったのだ。
顔にも触手で切り裂かれた痕がある。目をやられているようだ。
焼け焦げた学生服も、額のバンダナも鮮血に染まっている。
「ごめん、俺、こんな……あいつ、あんな化け物だなんて」
跪いて、必死で呼び掛ける。
この傷では、とても意識を保ってはいられないだろう。聞こえてはいないかも知れない。
すぐに充分な治療をしなくては、まず助からない。

アレフは絶望の淵にいた。己の罪に、そして無力さに。
助けねばという一心で放った銃弾が、あの悪魔のような女を救ってしまった。
女と戦っていたこの男は、立ち竦んだアレフに離れろと叫んだ。誰に撃たれたかは理解していたろうに。
彼の警告がなければ、あの時、自分も殺されていた。
今度こそ助けなければならない、恩を返さなければならないのに、そんな力はなかった。
治癒の魔法が使えれば。宝玉か魔石でも持っていれば。悪魔が呼べれば。
そのどれ一つも持たない自分が情けなくて、憎かった。
「待っててくれよ、どうにかするから……絶対死なせないから」
絶対、などと約束できる根拠は何もない。
しかし気休めでもそう考えていなければ、本当に絶望しそうだった。
誰か、治癒の手段を持った信頼できる人物はこの近くにいるだろうか。
そんな確率は限りなく低い。しかしそれに頼るしかない。
「ごめん、俺が魔法とか使えればいいんだけど……何もできないから、待ってて」
「……うるせぇよ」
男の唇が、微かに動いた。低く掠れた声が紡ぎ出される。
「え……君、駄目だよ、そんな傷で喋っちゃ」
「……男がびーびー喚いてんじゃ、ねぇ……」
まだ意識があって、激痛に耐えながら話すことさえできるのか。男の肉体と精神の強靭さに、アレフは驚く。
「助けたいんだよ。これは俺の責任なんだ。君は死なせたくない」
「ポケットに……魔石、が……」
さすがに辛いのだろう、男は顔を歪めて黙る。荒い呼吸と共に、その口から血が吐き出された。
一刻も猶予はない。アレフは男のポケットを探った。指先に何かが触れる。
「あった……魔石!」
ポケットには二個の魔石があった。微塵も迷わずに、二つ分の治癒の力を男に向けて解放する。
魔石の回復効果は元々そう大きいものではない。
しかもベスが使っていた治癒魔法と同じく、魔石の効果もこの世界では弱められているようだ。
が、応急手当としては充分だった。
男の体の傷が塞がってゆく。体組織の再生により押し出された銃弾が地面に落ちた。
荒かった呼吸も、次第に落ち着いてくる。
「良かった。これで大丈夫だよ、後はしばらく安全な所に……」
呼び掛けて、アレフは気付く。
痛みに耐えるのにも限界が来たのか、治癒の術を受けた安堵によって緊張の糸が切れたのか。
男は、気を失っていた。
「……無理もないよな」
一瞬焦ったものの、男の呼吸が正常なことを確認してアレフは安堵の息をつく。
そして、巨鳥を従えた女が飛び去った方角の空を睨んだ。
「東。蓮華台か」
あの女を野放しにしては、確実に次の犠牲者が出る。
傷も癒えていないであろう今の内に、倒さねば――仕留めねばならない。
(わかってるよ。殺したら、あいつらと同じ場所に立つことになるんだって)
拳を握る。友が言ったことを、ただの綺麗事だとは思っていない。
(でも、俺はさ。元々、そういう場所に立つ人間だったんだ)
殺し合うことが仕事であり、生きる手段であり、栄光への道だった日々。
そんな日々を、決して嫌いではなかった自分。
今更になって、今の自分の中にもそれが生きていることを思い知る。
向かうべき道は最初から、一つだったのかも知れない。

「――手を汚すのは、俺みたいな奴だけでいいんだ」

意識を失っている男を、誰かに見付からないように近くのビルのエントランスに運び込む。
彼が持っていたのだろう刀と銃も、その傍らに置いた。
荷物はないようだ。どこかに置いてきたのだろうか。仲間に預けているのかも知れない。
「……あ。荷物」
それを考えて、ふと思い出す。自分が持っていたザックを、いつの間にか降ろしてしまっている。
巨鳥の攻撃を避けた時に手放したのだったか。半ば無我夢中だったため、はっきりとは覚えていない。
独りで道路に戻り、辺りを見回す。――見付からない。
「嘘だろ……参ったなあ」
きょろきょろと周囲を探し回るが、どこに飛ばされてしまったのかザックは影も形もない。
もしかしたら巨鳥の爪にでも引っ掛かったか、あの女に持ち去られたのだろうか。
食料に水、名簿も地図も、ベスの形見のバンダナも入っているというのに。
逸る気持ちで、東の空を見上げる。
急がねばならない。あの女は、倒れた男からエネルギーのようなものを吸収していた。
あれがマグネタイトのような生体エネルギーを視覚化したものなら、治癒を早める効果もあるはずだ。
つまり、あの女は誰かを殺すか瀕死に追い込みでもすれば回復できる。
深手を負っているのだから積極的に戦いはしないだろうが、無力な者を狙って殺そうとするかも知れない。
(仕方ない。荷物なら後でまた探しに来ればいいんだ)
頭を振って、東の方向を睨む。女が向かった方向は蓮華台、この街の中央だ。
アレフにとっては、最初に転送された区域でもある。
地図を失ってしまったのが痛いが、できる限り早く近付ける、真っ直ぐな道を探して行こうと考える。
尤も、彼女が蓮華台に留まっていてくれるとも限らないのだが。
何しろあれだけ移動能力に長けた悪魔を使役しているのだ。
見たところ、悪魔召喚の道具らしき物も持っていなかったようだが――
(……道具なしで、召喚?)
先程出会った天使の言葉を思い出す。主は人間なのかという問いに、天使は答えなかった。
『あの方にはそのような物は必要ありません』
その言葉の意味が、あの時はわからなかったが。
(――まさか、な)
考えないことにして、アレフは歩き出す。
向かうは蓮華台。この悪夢のゲームの、始まりの場所。

千晶は不機嫌だった。
ただの人間にしか見えなかった者に傷を負わされたばかりか、退却する破目になるとは思っていなかった。
あの無謀極まりない学生服の男から少量のマガツヒは奪えたものの、止めを刺すには至らなかった。
未だ、銃創を塞ぐのに充分なマガツヒは集まっていない。殺せていれば、必要なだけ得られていたのだが。
間抜けにも手助けをしてくれた長髪の男も、学生服の男が警告などしなければ不意打ちで倒せていただろう。
「千晶様。傷が痛まれますか」
側に控えた巨鳥――スパルナが心配そうに問い掛ける。
主の浮かない表情を案じてのことだろう。しかし、気遣いなど彼女にとっては邪魔なだけのものだった。
「私がそれほど脆弱に見える?」
冷たく一瞥すると、スパルナは目に見えて怯えた。
期待に副わない者は、たとえ己の配下であろうと殺すことを躊躇わない。主のその性格を、悪魔は知っている。
「失礼を……」
かつては人々に讃えられた高貴な聖鳥が、猛禽に睨まれた小鳥のように萎縮している。
千晶の配下となった悪魔は皆、彼女の力と思想に靡いた者達だった。
強き者が全てを支配する。それを是とする者が、より力ある存在に従うのは当然だ。
逆に言えば、千晶に従う悪魔は序列に敏感で、その頂点に千晶が存在することを認識している者ばかりである。
逆らえばどうなるか理解しているのだ。
「臆病者は必要ないわ」
眉一つ動かさず、千晶は黒い腕を伸ばした。避ける間も与えず、それはスパルナの心臓を貫いた。
苦悶の羽ばたきが美しい羽を舞い散らせるが、それもすぐ止んだ。
地に伏して動かなくなった悪魔から立ち上るマガツヒが、千晶に吸い寄せられてゆく。
「――足りない」
不満げに、千晶は呟く。
バンダナの男に撃たれた傷は、出血こそ止まっているが未だ塞がっていない。
己の体に醜い傷が残っていることを、彼女は苦々しく思う。
その気になれば、あの場に留まってバンダナの男に止めを刺し、長髪の男も殺すことはできていたはずだ。
しかし、手負いの獣がどれだけ激しい抵抗をするかは計り知れない。
この傷も、その「予想外」の産物だ。
ボルテクス界とはまた違う、この奇妙な都市で行われている死のゲーム。
ここで力を示し、自らが最も優れていることを証明するのは、出会った者と愚直に戦っていては至難に近い。
一対一で千晶に勝てる者は少ないだろう。しかし、無傷で片付けられる相手ばかりとは限らない。
そして、ゲームを受け入れず団結する者もいる。
どれだけの力があったとて、力だけでは生き残れない。知や精神力をも試されているのだ。
(面白いじゃない。優れた者は、全てを手にするのよ)
眼下に広がる街を見渡す。
(弱い者はせいぜい足掻いていればいい。私が刈り取ってあげるわ、全て――何もかも)
千晶は笑みを浮かべた。悪魔のような、冷たい笑みを。

動かない体を引きずって、ほとんど精神力だけで前へ進み続ける。
銃声が聞こえたのは、明が見えなくなってから数分後。
反射的に飛び出し掛けたが、足手纏いになると言われたことを思い出して足を止めた。その時は。
しかし二発目、三発目の銃声を聞いた今、動かずに待つつもりはなかった。
正確には――その二発の音を聞く前に、明の悲鳴が聞こえたからだ。
多少の傷など物ともせず平気な顔をしていた彼が、苦痛に声を上げるような状況。
尋常ではない。最初から、尋常でないことはわかっていたのだ。大気を満たす禍々しい気配で。
(宮本君……無事でいてくれ)
動けないなどと言っている場合ではなかった。動かなくてはならないのだ。
よろめき、何度も倒れながらキョウジは進む。明はきっと、助けを必要としている。
助けられる自信がある訳でもなかったが、彼を見捨てることはできない。
漂ってくる邪悪な気配に揺らぎが生じていることも、キョウジは感じていた。
そういえば、と当たり前のことを思い出す。この体には葛葉一族の血が流れているのだと。
元はと言えば葛葉とは何の縁もなかったキョウジには、その自覚は薄い。
しかし自らの霊感が次第に研ぎ澄まされてゆくのを感じ、彼は初めて葛葉の血を意識した。
(恐らく宮本君はピンチだ。しかし、敵もダメージを受けている)
冷静に状況を分析しながらも、焦りは募る一方だった。
明が数分で駆け抜けていった距離を進むのに、麻痺した体はどれだけの時間を要するだろう。
彼のもとへ辿り着いたとして、果たして間に合うのか。
息を切らしながら歩を進める中で、彼は――四発目の銃声を聞いた。
(今のは!?)
息を呑む。明が持っていった拳銃の装弾数は三発。弾に予備はなかった。
考えられるのは一つ、その場所には別の銃があるということだ。
誰が、誰を撃ったのか。嫌な想像が浮かび、手に汗が滲む。
気ばかり急いているのに、体はまともに動いてはくれない。
やがて次なる異変が起こった。空に、急速で飛来する影が見えたのだ。
鳥に見えるが、その大きさといいシルエットといい、こんな都会に元々住んでいた鳥とは思えない。
悪魔だ。恐らくは、誰かに召喚された。
(くそっ……何が起こっている?)
影は、舞い降りた。
そして――遠くから見守るしかないキョウジの存在に気付くこともなく、再び空中へ舞い上がる。
(……あれは?)
鳥の足の辺りに、何か人影のようなものが見える。しかしキョウジの距離からは、その正体は掴めなかった。
しかし、一つだけははっきりと確信できる。
あの禍々しい気配が、遠ざかりつつあるということは。

それから更に十数分は経ったろう。ようやく、戦闘の跡のある場所にキョウジは辿り着いていた。
酷い有様だ。誰のものとも知れない血が路上に撒き散らされている。
中でも大きい、誰かが倒れていたに違いない血溜まりが二つ。
地面には焼け焦げた跡があるが、何が燃やされたのかは推理できない。
燃え滓は先程の鳥が着地した時、その翼の生み出す風圧で飛ばされてしまったのだろう。
「宮本君!」
目の届く場所に明の姿はない。彼の死体が転がっていなかったのは喜ばしいが、無事とも思えなかった。
連れ去られたのかも知れない。周囲への警戒は怠らないまま、声を張り上げて名を呼んだ。
「宮本君! 聞こえるか!」
発声器官は完全に麻痺してはいないものの、普段に比べると掠れた声しか出ない。
この声の聞こえる範囲に、彼はいるのだろうか。不安が頭をもたげ始めた時だった。
「うるせぇ……怒鳴んな」
返事が聞こえた。弱々しいが、確かに明の声だ。聞こえてきた先は――道路脇の小さなビルのエントランス。
駆け込みたいところだが、それもままならない。ゆっくりとキョウジは歩を進め、転がるようにそこに飛び込んだ。
「来んなって言っただろ……」
呆れ顔で、壁を背にして座った明が呟いた。
「そんな訳にいくか。何があったんだ」
よろよろと明に歩み寄る。服は焼け焦げ、所々破れているが外傷はないようだ。
しかし、ぐったりと座った様子や声の調子からはかなりの消耗が見て取れる。
「……殺り損ねた」
そう言って深く溜息をついた後、明はゆっくりと起こったことを話し始めた。

「なるほどね……」
大体の事情を飲み込み、キョウジは頷いた。明の話はこうだ。
異形の女と出会い、戦った。明は目をやられながらも女を追い詰めたものの、その光景を誤解したらしい男に撃たれた。
女は逃げ去り、明を撃った男は懸命に詫びていて――そこで意識が途切れたらしい。
キョウジの声で意識を取り戻してみると、幸いなことに傷は塞がり、視力も戻っていたそうだ。
「……冗談じゃねえ。とんだ災難だ」
「しかし魔石を素直に両方使ってくれたなんて、そいつも結構なお人好しじゃないか」
自分の生き残りを優先に考える人間だったら、魔石の場所を教えられたら持ち逃げしかねない。
明は戦いを邪魔されたことで不満そうだが、その男は仲間に引き込める人種かも知れない。
「顔は見えなかったんだよな。また会えるといいんだが」
「俺は御免だ」
吐き捨てるように言って、数秒。ふと思い出したように明は付け加える。
「……髪、だ」
「髪?」
「そいつが俺の側に屈んだ時、髪が触れた。長髪野郎だ」
これは推理材料になるな、とキョウジは思う。言うまでもなく長髪の男はそう多くない。
教室に集められていた中に、何人いただろうか?
さすがに人数までは思い出せないが、これから出会う相手から情報を募れば手掛かりも掴めるだろう。
それまで互いに生きていれば、だが。

「……ところで、荷物はどうした」
「置いてきたよ。今の僕じゃ二人分のザックなんか運べない」
明は露骨に嫌そうな顔を見せたが、仕方ないという風に首を振る。
「わかった。持ってくる」
「お……おい。待てって」
立ち上がろうとした明に、キョウジは制止の言葉をかけた。構わず、明は立ち上がると壁に凭れる。
「あんたは動けねえ、俺も少しは休みたい……なら、ここに荷物を持って来んのが安全だ」
理屈はわかる。キョウジが取りに行くよりは明の方が早いだろう。
しかし彼は、瀕死の重傷から回復したばかりなのだ。
傷は塞がっていても所詮は魔石の回復力、体力はほとんど戻っていないだろう。
「じゃあ、せめてこれを」
「駄目だ」
渡されてポケットに入れていた最後の魔石を差し出すが、一言で却下される。
「使い果たしたら、次に死に掛けた時にどうなる。……俺は動けるんだ、必要ねえ」
正論だ。仕方なく、魔石をポケットに引っ込める。
「……わかった。荷物を持ってきたら、ここでしばらく休もう。決して無理はしないでくれ」
「まだ死ぬ気はねえよ」
口の端を歪めて、明は笑った。
消耗を感じさせない、意外にしっかりした足取りで彼が出て行く。
無理をしているのだろうな、とキョウジは思った。

十分ほどの後。明は、無事に戻ってきた。
「土産だ」
ザックを三つ投げて寄越すと、明は壁に凭れて腰を下ろす。やはり、かなり辛いのだろう。
――ザックを三つ?
「おい、これ……」
「木の枝に引っ掛かってた。あの馬鹿野郎が慌てて放り投げでもしたんだろ」
呆れた様子で明は溜息をつく。
馬鹿野郎と彼が呼ぶ本人にとっては災難この上ないだろうが、明にしてみれば迷惑を掛けられたのだからお互い様か。
「できれば返したいが……中は見ておくか」
手掛かりになる物も入っているかも知れないし、使える品があれば借りておいてもいいだろう。
ザックの口を開け、中身を引っ張り出して床に並べる。
地図や名簿、着火器具などの基本セット。特に地図や名簿に書き込みはない。
水と食料が二人分。誰かから奪ったのだろうか。
明の話を聞く限り、その馬鹿野郎は積極的に殺人を犯すタイプではないように思える。
となれば襲ってきた相手を返り討ちにしたのか、死んだ仲間から受け継いだのか。
それから、十字が染め抜かれた白と青のバンダナ。支給品とも思えないし、私物だろうか。
「使えそうな物は入ってねえか」
些かがっかりした調子で、並べられた品を眺めて明が言う。
「らしいね、どうやらアンラッキーだ。これが最後……」
ザックの中に最後に残った品を取り出し、キョウジは言い掛けた言葉も忘れて黙り込む。
「? どうした?」
不審げな顔をした明が立ち上がり、寄ってきて覗き込む。
キョウジはにっと笑って彼を見上げた。明の表情は、つい数秒前のキョウジと同じだったろう。
「前言撤回。どうやら僕らはラッキーだ」
手の上にある薬のラベル。そこに燦然と輝く文字は――『ディスパライズ』。



<時刻:午前9時半前後>
【橘千晶(真・女神転生3)】
状態:片腕損傷(軽微)、肩に銃創×3
装備:なし
道具:なし?
現在地:七姉妹学園屋上
仲魔:なし?
行動方針:皆殺し

【アレフ(真・女神転生2)】
状態:左腕にガラスの破片で抉られた傷
装備:ドミネーター(弾丸2発消費)
道具:なし(ザックごと紛失)
現在地:平坂区/夢崎区の境から、蓮華台に向けて移動
行動方針:ネクロマの術者を倒す、千晶を倒す

【宮本明(真・女神転生if...) 】
状態:外傷は塞がっているが消耗大、ボロボロの服
装備:ヒノカグツチ(少し重い)、鍋の蓋、スターグローブ(電撃吸収)、無想正宗
 アセイミナイフ×2、クラップK・K(残弾なし)、髑髏の稽古着(焼け焦げて使い物にならない)
道具:包丁×3、アルコールランプ、マッチ*2ケース、様々な化学薬品、薬箱一式 、
 メリケンサック型COMP、傷薬2つ、デイスポイズン2つ、閃光の石版、MAG1716
行動方針:ハザマの殺害、たまきと合流しゲームの脱出、休息を取り体力回復
現在地:平坂区/夢崎区の境
仲魔:コボルト
備考:肉体のみ悪魔人間になる前

【葛葉キョウジ(真・女神転生 デビルサマナー) 】
状態:麻痺
装備:ピースメーカー
道具:魔石1個、ディスパライズ、ベスのバンダナ、基本支給品を余分に1セット、水・食料を余分に2セット
行動方針:レイと合流、ゲームの脱出、休息を取り明を回復させる
現在地:同上
備考:中身はキョウジではなくデビサマ主人公です。

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