女神転生バトルロワイアルまとめ
第99話 モミアゲの王子様

「はあぁ〜…。」
あたしは全身全霊を込めて溜息をついた。
「ずどおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉん!!」
もう一回、溜息をつく。
そんなことをしたって後ろで無意味に暴れてるバカが空気を読んでくれるとは思えないけど。
そりゃこんな所に閉じ込められたのはこのバカだけのせいじゃないって解ってる。
このバカだってこんな状況になると思ってやったことじゃない。
本気で殺されるかもしれなかったから、仕方無いよ。
こうでもしないとあたしたちダメだった。
このバカだって良かれと思ってやったことが裏目に出ただけなんだって。
だけど、そんなこと解ってるけど、やっぱりムカつくものはムカつくよ。
「うおぉれは好カベ一代いいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
……もう、コイツ殺してもいいですかぁ〜?
こうやってあたしが思いっきりコールドな視線を浴びせかけてもこのバカときたら、なぁ〜んにも感じて無いみたい。
一本足で跳ね回って大喜び。何なのよもぅ!
あたし一人がこんなに悩んだり困ったりしても仕方無いのかもしれないけど。
それでも絶望。超絶望。
あーあ、さっき知らない人間が通りかかったから呼んでみたけど気付かないし。
ムカつくから此処から出れたらまずあの人間を殺したい!
ちょっと年行ってたけど背が高くて、モジャモジャ頭が微妙だけど顔自体はまあまあ。
やけに時代掛かったキャメルのスーツ姿で、何か追い詰められた表情だった。
追い詰められてるのはこっちだっての!
これ以上お肌荒れたらあのモジャ毛と、後ろで無意味に暴れてるバカのせいだからね!
あー、余計ムカついてきた。

何処かにこの囚われのお姫様(あたしのこと!)を助けてくれる素敵な王子様はいないのかなぁ…。
そんなステキな王子様がいてくれたら、あたし、一生付いて行っちゃう。
お嫁さんにしてもらう!
「うぉまえぇぇぇぇぇぇぇ!! 
先っちょ削れるかもしれないぞおぉぉぉぉぉぉ!!!
やっぱり削れないかもしれないぞおおおおおおおおおおお!!!
どっちなんだあああああああああああああああああああああああああああああ!!!
わからねええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」

…………。

やばい、泣きそう…。
「もう嫌――――――――――――――――ッッッ!!!」

鳴海が病室から出た後、再び浅い眠りについていたライドウは、何処かで少女の悲鳴が聞こえたような気がして覚醒した。
半身を起こして周囲をきょろきょろと伺うが、人の気配は無い。
人の気配なんて、あるわけが無いだろう。ここは廃病院だ。
しかも窓ときたら背伸びしないと届かないような場所に申し訳程度の大きさのものが一つ。
その上頑強そうな鉄格子まで付いているような病院である。
おまけに外は人っ子一人いないような山奥だ。
視線を逸らし、壁に掛かった時計を見ると十分程度しか経っていない。
まさか丸一日寝過ごしたとは思えないから、熟睡したような気がしたが、そうでもなかったのらしい。
先ほど鳴海が持ってきてくれた食べ物を口にしたからだろうか、出血多量だった当初よりは頭がスッキリしていた。
ベッドからもぞもぞと這い出し、枠に引っ掛けてある自分の学生服を羽織った。
それから、いつも愛用している黒い外套を探すが見つからない。何処かで無くしてしまったのだろうか。
腕を動かすと、強引に縫い合わせられた右肩の傷口が少し傷んだが、血は出ていないようだ。
包帯の巻き方は無茶苦茶だったが止血はちゃんと施されているらしい。
かなり手荒だが、その手当てをしてくれた鳴海は足りない血液を補うために探索に出てしまったが、まだ帰ってきていない。
それ程時間が経っていないのだから、もう少し待っていてもいいのではないかと思わないでもなかったが、何故か嫌な予感がした。
鳴海が先ほどこの部屋から出た時に感じたものと同じ感覚だ。
もう二度と、まともな姿で会えないのではないかという、不吉な予感――。
普段はチャランポランだが、やる時はきちんとケジメを付ける鳴海に限って自分を裏切るような真似はしないと信じたいが……。
何故か心に掛かったもやのような物は晴れない。
厭な考えを振り切り、立ち上がると部屋の片隅に眼をやる。
自分のものと、赤根沢玲子から預かった荷物が無造作に放り投げられている。
鳴海の荷物は無かった。

その荷物を取ろうと一歩踏み出すと、目の前が白く染まった。
平衡感覚が上手く掴めない。
少し食事をして寝ただけでは、まだ完全回復に至っていなかったらしい。
が、そんなこと言っている場合では無いような気がして歩を進めた。
まず、自分の荷物を開ける。
中の道具は使いきってしまって、あるのは無銘の脇差だけだ。
これだって数刻前、ピアスの男の持つロングソード
(脇差よりも重量、破壊力共に勝っている。おまけに持ち主の力も強い)
と鍔迫り合いをしたのだから刃こぼれが酷い。
それとわずかな食料と水、他に残るはこのゲームのルールブックだけだ。
ライドウは、この戦いに巻き込まれてから今の一度もルールブックに眼を通していないことに気付いてそれを手に取った。
書いてあるルール自体はどれも鳴海やレイコから聞いたことばかりだ。
参加者名簿に改めて目を通すと、一つの名前に眼が留まった。

葛葉キョウジ

その名が眼に飛び込むや否や、ライドウはぎょっとした。
ライドウが知っているキョウジ、いや『狂死』は危険な男だ。
ヤタガラス機関の『掃除屋』である悪魔召還士で、ライドウと同じく葛葉の名を冠する。
ライドウの知っているあの男は粗野で乱暴。
悪魔以上に悪魔らしい人間と言える。
標的がたとえ一人だったとしても、そいつのいる建物ごと焼き払うような危険人物だ。
そんな奴まで此処に来ていたとは――。
あの男がこのゲームに乗って殺戮に手を染めている姿はありありと想像出来た。
(このゲームに呼び出された葛葉キョウジはライドウの知っている初代葛葉狂死とは別人だが、彼はそれを知らないのだ。)
戦いを避け、この街から脱出するとしても、遭遇したら厄介な相手だ。
魔神皇同様、出来るだけ見つからないように行動したい所だが、鉢合わせになったら戦闘は避けられない相手だろう。
油断は出来ない。

そう言えば、一度目の放送の時、自分は外出していたから死者が誰なのかを聞き流してしまっていた。
あの時も、嫌なものを見た。
道端に投げ出されていた少女の死体、目の前で包丁を使って自らの喉を突いた少女……。
あの二人も死者の名前に連ねられているのだろう。
参加者名簿(好きで参加してるわけじゃないのに)には鉛筆で名前がチェックされている。
自分が眠っている間に鳴海がやっておいてくれたのだろう。
(こんなに鳴海さんに世話を焼かせたことって今まで無かったな。
どっちかと言うと普段は働かないダメ上司だから苦労していたのは自分なのに。)
ふと、そんなことを思った。
それから自分の知っている名前、朝倉タヱと大道寺伽耶の名前にチェックが入っていないことに少し安心した。
ゴウトの名前は最初から書いてないが、彼ならまぁ、そう簡単にくたばるようなことは無いだろう。
勿論、鳴海とレイコの名前にもチェックは無い。
「レイコさん……」
レイコのことを思い出すと、心が今まで感じたことの無い感情で溢れた。
何故だろう。
このゲームが始まって出会ったばかりだと言うのに、彼女のことを考えるだけで胸が熱くなって鼓動が早まるような気がする。
だが決して不快ではない。
むしろ、ずっとレイコのことを考えていたいくらいだ。
彼女は必ず、自分が守らなければいけないような気がするのに――。
彼女は今、おそらくだがあのピアスの男に囚われている。
酷い目に遭わされているかもしれない。
どうして一瞬だったにせよ、彼女から眼を離してしまったのか…。
酷い自己嫌悪に駆られてしまうが、まだ死亡が確認されていないのだから、助け出す余地はあるはずだ。
(早く、早く行かないと……。)
それからもう一つの荷物、レイコから預かっていた荷物に眼をやった。
このゲームの主催者から配布された物とは言え、女性の荷物を勝手に開けていいものなのか少し戸惑ったが、
ライドウは意を決してカバンのジッパーを開いた。
中身は全員に配られる食料と、ルールブックが入っている。
それからマハラギストーン、マハブフストーン、マハジオストーン、マハガルストーンが一つずつ。
人の物だから勝手に使っていいとは思えないが、緊急事態に役立つかもしれない。
そう考えながらライドウはジッパーを閉じた。
二人分のカバンを持ち上げた時、何かが転がり落ちてライドウの靴の爪先に触れた。
「これは…」
それは鳴海に預けていたはずのメリケンサックだった。

ただ、それはただのメリケンサックではない。
自分には使えないが、悪魔召還を可能とする機能を備えた特殊なメリケンサックである。
何となくそれを手に取り、右手に嵌めて手の甲に当たる鉄板部分に指を触れてみる。
すっと音も無くそれは横にスライドし、小さな青白い画面が現れた。
何かが書かれているが、ライドウにはあまり馴染みの無い英単語とルーン文字が羅列してあったため、殆ど意味は解らない。
この形状でどうやって悪魔を封魔して、召還するのか想像も付かなかった。
唯一解ったのはメリケンサック内に内蔵出来る悪魔は全部で6体。
そして最初からマグネタイトが3000程入っているということだ。
(これが使えたら、かなり有利になるのに…)
誰か未来の機械に精通していて話の通じる相手がいたら使い方を教えてもらおう。
そう思いつつ、一つの疑問が頭を過ぎった。
何故、鳴海はこれを置いて出て行ったのか。
輸血用の血液を探すのだから、歩き回るのはこの病院内だけのはずだ。
だが悪魔や、やる気になっている人間に出くわす可能性もあるから武装を固めていくのは当然だろう。
このメリケンサックだって、召還が出来なくとも殴ればそれなりに効くはずだ。
なのに、何故?
鳴海に悪魔召還は出来ない。そして管の無い自分にも今や不可能。
ただし、今このメリケンサックの利用方法が解れば、サマナー知識に関して素人の鳴海よりも自分の方が上手く使いこなせる。
「まさか…!」
ライドウは思うが早く、二つの荷物を手に取り、乱暴に病室のドアを開けると外に飛び出した。
(まさか、鳴海さん……一人で外に出たのか?)
確かに鳴海は元帝国陸軍所属で、訓練を受けているため一般人よりは格闘に強い。
だが、それは普通の人間相手に対してのみ言えることだ。
外には、今まで一度も遭遇しなかったのは奇跡だが、悪魔が蔓延っているらしい。
それに、それ以上に危険な人物が闊歩しているかもしれないのだ。
「ちょっとは見直したけど、やっぱりあの人……馬鹿だ!」
ライドウは今まで溜め込んでいた上司に対するささやかな暴言を口走り、自身が貧血気味でフラフラなのも忘れて走り出した。

無機質で白い天井には、行く先々で案内の標識が引っかかっていた。
ライドウはそれを頼りに出入り口に向かう。
何故か途中に戦闘が行われたような痕跡や血の跡がついているが、今の状況ならそれほど珍しくないように感じた。
普通なら病院でこのようなものを見たら多かれ少なかれ不気味に感じるものだろうが、
異常事態の連続で感覚がすっかり麻痺してしまったようだ。
標識を見て、ロビーの方向に向かって曲がる。
その時、逆の方向から少女の声が聞こえた。
「人間! 人間だ!」
声からして幼女のようだが、どうしてこんな所に幼女がいるのだろうか。
まさかそんな年端の行かない子供まで参加者として召還されたのか?
「人間、助けてよぉ……。助けてくれたら何でもするから!」
「がおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!
うぉれぇ、し、し、失敗……パイナップルうううううううううううううう!!!」
幼女の声を遮ってよく解らない絶叫も聞こえる。
だが、ライドウはこの絶叫に聞き覚えがあった。
(悪魔か……)
あの一種独特のマッド口調は一度聞いたらそうそう忘れられるはずが無い。
だから間違いは無いだろう。
本来なら悪魔なんかに構っている暇は無いのだが、悪魔から情報を少し聞き出しておくのも悪くないだろう。
それにマッド口調の方はともかく、幼女の方は切羽詰ってるような声色だ。
気付いていて放っておくのはいくら何でも凌ぎ無い
ライドウは踵を返して声のした方に進んだ。

その廊下の突き当たりに、それはあった。
目の前の空間全体を覆う、鈍い光と、その中央に眼窩と口腔をぼんやりと開いた不気味な顔が浮かび、蠢いている。
シキミの影だ。
この厄介なトラップは一定の属性で攻撃しないと破壊出来ない。
帝都を守護するライドウも、これには何度も手を焼いた。
「あぁ、やっと気付いてもらえた! 助けてよ人間!! ねぇお願い!」
「ずどおおおおおおおおおおぉぉぉん、ずどおおおおおおおおおおおおおおん!!
うぉまええええええええええええええええ、何故うぉれは此処にいるううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!
答えろおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
悪魔2体が突き当たりの壁とシキミの影に挟まれて身動きが取れなくなっていた。
その悪魔はモー・ショボーと、イッポンダタラ。
奇妙な組み合わせである。
「これは……一体どうしてこんな所にシキミの影が。一体誰が?」
ライドウはシキミの影に手を当てて学生帽の頭を傾けた。
「うぉおおおおれの壁はぁぁぁ世界一いいいぃぃぃいいいいいいいいい!!!」
「うるさーい! アンタは黙ってて!」
モー・ショボーが甲高い声を上げてイッポンダタラの頭を拳で殴った。
やられたイッポンダタラの反応からしてあまり効いていないようだが、とりあえず叫ぶのは止めてくれたようだ。
後ろでぴたりと止まって固まっていた。
「人間あのね、あたしたち山から逃げてきたの!
白い服着た怖〜い人間が山の中で破壊の限りを尽くしてて……それで、それでね……。
うえぇ〜ん、怖かったよぉぉぉ〜!」
そう言って緊張の糸が切れてしまったのか、火がついたように泣き出してしまった。
モー・ショボーの話は点で要領を得ないものであったが、舌ったらずな言葉の中にライドウは思い当たる節があった。
白い服……。
「そいつが着てたのは白い着流しだったか?」
ライドウの質問にモー・ショボーはしゃくりあげながら首を横に振った。
「ううん、白い学生服だよ…着物じゃなかった。」
ならば葛葉狂死ではない。
破壊の限りを尽くす白い学生服の人間――。
間違いなく魔神皇だ。
「モー・ショボー、それはいつの話だ? 君達はいつからそこにいる?」
「えっ、えっ、時間なんて解らないよぉ〜。もうずーっとだよぉ!」
少なくともライドウがこの病院に来て以降の話ではないようだ。
だからと言って、魔神皇の死亡が確定されていない以上安心は出来ないが。
「それでね、ひっく、此処に逃げて来たの、そしたら……」
涙を服の袖で拭いながらモー・ショボーは恨めしそうに後ろで硬直したまま黙っているイッポンダタラに恨めしそうな眼を向ける。
「コイツが壁作って出られなくなっちゃったんだよお〜!」
そう言ってまた声を上げて泣き出した。
後ろでどうしたらいいのか解らないイッポンダタラがオロオロしている。
「なるほど解った。」
ライドウは一つ頷くとシキミの影をコンコンと軽く叩いた。
うっすらと見える色からして氷結属性の攻撃で簡単に撃破出来そうだ。
魔法を使えないライドウだが、幸運なことにマハブフストーンはあった。
本来の持ち主はレイコだが、このことについては再会してから詳しく説明することにしよう。
「人間、助けてくれるの!?」
「うおぉまえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!
パッション、パッショォォォォォォォォォォォォォォンンンンンンンンンン!!!!」
二人の顔が煌いて、シキミの影に張り付き、ライドウにずずい期待の視線を向ける。
「助けてやっても構わない。ただし、条件がある。」
それからライドウはメリケンサック型の召還具の嵌った右手を二人によく見えるように挙げた。

だがライドウが条件を説明する前にモー・ショボーが口を開いた。
「人間、サマナーなの? 解った! 出してくれたらあたし、人間に付いていく!」
「うぉおおおれはムァグが大好きなんだああああああああああああああああああ!!!」
召還具を見せただけで言いたいことは解ってくれたようで助かった。
モー・ショボーは強力な魔法を持っているから純粋な戦力として使えるだろう。
何より回復手段が無い現状で彼女の持っているディアの魔法はかなりありがたい。
イッポンダタラはこんな性格だから手懐けるのに手間が掛かりそうだが、それなりの戦闘力はある。
それに自由自在にシキミの影を作れるのなら、使い道はありそうだ。
だが、今手元にあるのは管ではなく使えない召還具。
はたして本当にこの状態で悪魔を使役出来るのか。
「いや、僕が召還士には違い無いがこの機械の使い方が良く解らないから…知ってたら教えて欲しいんだが。」
「うん、解った! 教えてあげるからっ!」
「本当に使い方が解るのか?」
「うんっ、前お世話になったサマナーが同じの使ってた!」
「本当に大丈夫なのか? 壁が消えた途端襲い掛かったりしないだろうな?」
「大丈夫、約束するっ!」
だって、ずっと待ってた王子様なんだもん……。
背が高くて、美形で、モミアゲがちょっと意味不明だけど、とっても格好良い王子様。
「解った。契約は成立だな。少し離れてろ。」
そう言って二人がシキミの壁から離れたのを確認すると、ライドウはレイコのカバンからマハブフストーンを取り出し、投げつけた。
氷の飛礫が壁一杯に広がり、一気に凍結させる。
それからきっちり3秒後にシキミの影の顔が大きく歪み、崩れ落ちた。
「やったあ!」
泣き顔から一転してモー・ショボーが満面の笑みを浮かべると、崩れた壁から飛び出し、ライドウにしがみついた。
「ありがとう、あたしの王子様! モミアゲの王子様!」
「王子様? モミアゲって……」
モー・ショボーの小さな身体を受け止めながらライドウは首を傾げた。
二人の後ろでイッポンダタラが自由になった喜びから、意味不明なことを叫んで飛び回っている。
「えへへ、恥ずかしいけど……これはあたしからのお礼だよ。」
「え……?」
モー・ショボーは少し顔を赤らめ、俯き加減にそう言うと、
両手でライドウの白い頬に触れ、首を伸ばして彼の唇に小さなキスをした。
悪魔の、それも幼い子供にこんなことされて、喜んでいいのかライドウが悩んでいると、
その瞬間、モー・ショボーが驚いたように飛びのき、いきなり軽くなったライドウは思わずよろめいた。
「きゃー大変! 王子様顔が冷たいよ! 死んじゃう!」
彼女の言葉でライドウは、自分が今も血が足りていないことを思い出し、がっくりとその場に尻餅をついて倒れた。



<時刻:午前11時20分頃>
【葛葉ライドウ(葛葉ライドウ対超力兵団】
状態 出血多量による重度の貧血 (少し回復)
武器 脇差 メリケンサック型COMP
道具 レイコの荷物(マハラギストーン マハジオストーン マハガルストーン) MAG3000
仲魔 モー・ショボー イッポンダタラ
現在地 蝸牛山 森本病院

***** 女神転生バトルロワイアル *****
inserted by FC2 system